第19問
経営者と従業員は、賃金を支払って従業員に職務を委託するプリンシパルと、賃 金を受け取って委託された職務を遂行するエージェントの関係として考えることが できる。次のような業績インセンティブ制度を仮定する。 P=A+B#X ここで、Pは賃金、Aは固定給、Bは歩合、Xはエージェントの売上や生産量な どの成果である。 この業績インセンティブ制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア Aが0 の場合、完全業績給を意味するので、すべてのリスクを従業員(エー ジェント)が負担することになるので、サボタージュが起こる可能性が高くなる。
- イ Aの割合が小さいほど、一般に、組織階層の下位にいる従業員(エージェント) にとってハイリスク・ハイリターンになり、階層の上位で利益責任を負う管理職 (エージェント)にとってインセンティブを高める制度となる。
- ウ Bが0 の場合、経営者(プリンシパル)側がすべてのリスクを負担することにな るので、リスク回避的傾向の高い従業員(エージェント)は積極的に職務にコミッ トする傾向が高くなる。
- エ 環境のリスクが小さく、経営者(プリンシパル)が従業員(エージェント)の行動 のモニタリング能力が高い状況では、Aの割合が小さく、Bの割合が大きい業績
- オ ンセンティブ制度が望ましい。
- 業績の測定が難しい職務に携わる従業員(エージェント)ほど、Bの割合が高い 業績インセンティブ制度のもとでよく動機づけられる。
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正解:イ
解答:イ
エージェンシー理論の業績インセンティブ制度(P=A+B×X、A=固定給、B=歩合)を問う。歩合Bが大きいほどエージェントがリスクを負い、努力を引き出すが、リスク回避的な者には負担となる。
- ア(×):A=0は完全業績給でリスクは全て従業員が負うが、成果に直結するためむしろ努力を促し、サボタージュ(手抜き)は起こりにくくなる。「起こる可能性が高くなる」は誤り。
- イ(○):Aの割合が小さい(=Bの割合が大きい)ほど成果に賃金が連動しハイリスク・ハイリターンになり、利益責任を負う上位管理職にとってインセンティブを高める制度となる。妥当。
- ウ(×):B=0なら成果に関わらず固定給で経営者が全リスクを負い、リスク回避的な従業員には安心だが、成果連動がないため「積極的に職務にコミットする傾向が高くなる」とはいえない。誤り。
- エ(×):環境リスクが小さくモニタリング能力が高い状況では、固定給A中心でも努力を観察・管理できるため、必ずしも歩合B中心が望ましいとはいえない。誤り。
- オ(×):業績測定が難しい職務では、歩合Bを高めても成果を正しく測れずインセンティブが機能しにくい。むしろ固定給中心が適する。「Bの割合が高い制度でよく動機づけられる」は誤り。
よって イ。