第11問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 ものづくりに強みをもつといわれているわが国の製造業であるが、近年大きな変 化が見られるようになってきた。 ① エレクトロニクスメーカー各社の苦境が伝えられ ており、エレクトロニクスメーカー各社では、事業分野の再構築を図る動きが活発 である。 自動車産業では、国内市場が縮小するなか、グローバルな競争に対応すべく生産 拠点の海外移転や現地での研究開発の展開など大きな変化が見られる。また、 ② 自動 車のモジュール生産が本格化してきており、系列による垂直統合型の生産に変化が 起こっている。さらに、環境対応技術や自動運転技術の開発が進むにつれて、自動 車産業のサプライヤーにも技術の変化への対応が求められるようになっている。 DKJC-1C 12 設問 文中の下線部①に記述されているエレクトロニクスメーカーの苦境の原因は多 様である。そのような原因と考えられるエレクトロニクス産業の状況に関する記 述として、最も不適切なものはどれか。
- ア レクトロニクス産業では、あらゆる分野の製品を生産し販売するという総 花的な自前主義の戦略を見直して、事業分野の選択と集中を図り、電子部品サ プライヤーとの垂直的統合を強化したため、事業分野の幅が狭くなり、グロー バルな競争力が低下してきている。
- イ レクトロニクス産業では、安価な電子部品をグローバルに調達して、それ らを組み合わせた製品が多くなるにつれて、部品から製品までの一貫生産がコ スト競争のうえから不利になっている。
- ウ レクトロニクス産業では、競争優位の構築を目指しながらも、互いに同質 的な戦略を展開しながら、技術進歩や製品開発を促進してきたが、電子技術を 一方向に収 しゅう 斂 れん させる傾向が強まり、多機能を搭載した類似製品の競争に陥り がちになっている。
- エ レクトロニクス産業では、先発企業が自社技術を武器に市場シェアを獲得 していても、後発企業が安価な部材をグローバルに調達し、技術的にほぼ同等 な製品で価格訴求力を武器に先発企業のシェアを奪うことが多くなっている。 DKJC-1C 設問 文中の下線部②のわが国における自動車のモジュール生産の進展とそれにとも なう生産体制の変化に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- オ モジュール生産の進展にともなって、アジア域内の現地中堅サプライヤーが 生産するエンジンやパワートレイン等の大型のモジュール部品を一か所に集約 して、そこからアジアの生産拠点に供給する配送システムが構築されている。
- モジュール生産の進展にともなって、車種間でのプラットフォームの統合を 進めて、生産の規模の経済や部品や設備の共通化による生産コストの低減が行 われるようになっているが、一次サプライヤーの供給する部品点数は変わらな い。
- モジュール生産の進展にともなって、車種間で共用化を進める基本部分と多 様化のための可変的な部分を切り分ける生産体制がとられるようになるにつれ て、サプライヤーはこのような生産体制に柔軟に対応する部品供給が求められ るようになった。
- モジュール生産の進展にともなって、部品間の擦り合わせの頻度が高まって くるので、組立メーカーでは完成車組立工場の敷地内にサプライヤーを集積さ せたサプライヤー・パークを設ける例がみられるようになった。 DKJC-1C
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正解:ア
解答:ア
設問1は下線部①「エレクトロニクスメーカーの苦境の原因と考えられる業界状況」として最も不適切なものを選ぶ問題(公式正解=ア)。
- ア(×・最も不適切):エレクトロニクス産業の苦境の実態は、総花的な自前主義(フルライン・垂直統合)にこだわり、選択と集中・モジュール化された外部調達への転換が遅れたことにある。本肢は「自前主義を見直し選択と集中を図り垂直統合を強化したため事業幅が狭まり競争力が低下した」とするが、苦境の原因の説明として論理が逆で、事実とも整合しない。よって最も不適切。
- イ(○・適切):安価な部品をグローバルに調達し組み合わせる製品が増え、部品から製品までの一貫生産(垂直統合)がコスト競争上不利になった。苦境の原因として妥当。
- ウ(○・適切):同質的な戦略で技術が一方向に収斂し、多機能を詰め込んだ類似製品の競争(過剰品質・コモディティ化)に陥りがちになった。妥当。
- エ(○・適切):後発企業が安価な部材をグローバル調達し、ほぼ同等の製品を価格訴求力で投入して先発企業のシェアを奪う構図。妥当。
(設問2はモジュール生産の進展に関する最も適切なものを問い、共用化する基本部分と多様化のための可変部分を切り分ける生産体制にサプライヤーが柔軟に対応を求められる、とする肢が正解となる。)
よって設問1は ア。