第4問
X 株式会社 以下「X 社」という。は、中小企業における経営の承継の円滑化に関 する法律に定める特例中小企業者である。 以下の事実関係の下で、平成29 年月の時点で、C がA から生前贈与を受けた X 社の発行済株式の全てについて除外合意が有効に成立していた場合と固定合意 が有効に成立していた場合におけるD に係る遺留分侵害額の組み合わせとして、 最も適切なものを下記の解答群から選べ。 なお、平成28 年月以降、X 社の発行済株式総数は、2,400 株のまま変化して おらず、A の家族構成にも変わりなく、A 以外に亡くなった者はおらず、廃除さ れた相続人もいない。また、下記以外に、寄与分及び特別受益は存在せず、A が 保有している財産はない。 平成28 年月 A は、X 社の代表取締役社長を務め、X 社の発行済株式の 全て 2,400 株を保有していた。A の家族構成は、図 のとお りであった。A の家族のうち、X 社の経営に興味があったの がC のみであったことから、A の家族の間では、C がA の後 継者としてX 社の経営を引き継ぐことは共通認識であり、C は、X 社の代表取締役専務として、X 社の業務に従事してお り、他方、B、D、E 及びF は、X 社の経営にも業務にも関与 していなかった。 平成29 年月 A は、引退を決意し、保有するX 社の発行済株式の全てを C に生前贈与し、代表取締役を退任し、C がX 社の代表取締 役社長に就任した。同月時点におけるA が保有する財産及び その金額は、図のとおりであった。 平成29 年月以降 C は、社長就任後、社業に邁進し、そのおかげもあって、X 社は、業績を順調に伸ばし、企業価値を向上させた。 平成33 年月 A は死亡した。この時までにX 社の 株当たりの株式の価 値は、20 万円に上昇し、その他の財産 自宅不動産及び預貯 金の金額は、平成29 年月時点から変わりはなかった。A は、図のとおりに財産を相続させることを内容とする有効な 遺言書を残していた。 DKJC-1E 6 図 A の家族関係 子C 妻B 子D 子E 子F A 図 平成29 年月時点でA が保有していた財産 財産 金額 X 社株式2,400 株 株10 万円 億4,000 万円 自宅不動産 8,000 万円 預貯金 6,000 万円 負債 なし 図 A の遺言の内容 相続人 相続する財産 B 自宅不動産8,000 万円 D 預貯金2,000 万円 E 預貯金2,000 万円 F 預貯金2,000 万円 解答群
- ア 除外合意: 0 円 固定合意: 375 万円
- イ 除外合意: 0 円 固定合意:1,875 万円
- ウ 除外合意:875 万円 固定合意: 375 万円
- エ 除外合意:875 万円 固定合意:1,875 万円 DKJC-1E
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正解:ア
解答:ア
経営承継円滑化法の除外合意・固定合意を踏まえた、Dの遺留分侵害額の計算問題。
前提(相続人と遺留分割合):相続人は妻B+子C・D・E・Fの計5名。法定相続分は妻1/2、子は1/2を4人で分け各1/8。総体的遺留分は基礎財産の1/2であり、Dの遺留分割合=1/2×1/8=1/16。Dが実際に取得したのは預貯金2,000万円。
除外合意の場合:CがAから生前贈与を受けたX社株式は遺留分算定の基礎財産から除外される(円滑化法4条1項1号)。
- 基礎財産=自宅不動産8,000万円+預貯金6,000万円=1億4,000万円
- Dの遺留分額=1億4,000万円×1/16=875万円
- Dは2,000万円を取得(875万円以上)→ 遺留分侵害額は 0円
固定合意の場合:贈与株式は基礎財産に算入されるが、その価額は合意時(平成29年)の1株10万円で固定される(円滑化法4条1項2号)。死亡時に20万円へ上昇した分は反映されない。
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株式価額=10万円×2,400株=2億4,000万円
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基礎財産=2億4,000万円+自宅8,000万円+預貯金6,000万円=3億8,000万円
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Dの遺留分額=3億8,000万円×1/16=2,375万円
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Dの取得2,000万円を差し引き → 遺留分侵害額=2,375万円−2,000万円=375万円
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ア(○):除外合意=0円、固定合意=375万円。上記計算と一致。
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イ(×):固定合意1,875万円は、株式を死亡時価額(20万円)で算入する等の誤計算による値。
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ウ(×):除外合意875万円は、Dの遺留分額そのものであり、取得済みの2,000万円を控除していない誤り。
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エ(×):両者とも誤り。
よって ア。