経営法務 H27年度 第2問

第2問

自己株式の取得に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX 株式 会社(以下「X 社」という。)の総務部門の担当者である甲氏との間で行われたもので ある。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、X 社は、公開会社ではな く、取締役会設置会社であるとする。また、定款に特段の定めもないものとする。 甲 氏:「今、有償での自己株式の取得を検討しているのですが、手続について教 えてもらえませんか。株主総会の決議が必要なのは分かっているのです が。」 あなた:「株主との合意によりX 社の株式を取得するということですよね。有償で 自己株式を取得する場合、取得対価の帳簿価格の総額が A を超え てはいけないことになっているのですが、その点は大丈夫ですか。」 甲 氏:「はい。それは既に確認しているので大丈夫です。」 あなた:「よかったです。では、手続ですが、株主全員に譲渡の勧誘をする方法(① の方法)と特定の株主から取得する方法(②の方法)の つがあります。② の方法では、特定の株主だけから株式を取得するので、その株主の氏名を 株主総会で決議する必要があります。ただ、②の方法の場合、他の株主 は、自己を取得の相手に加えるように請求することができます。」 甲 氏:「なるほど。 つの方法で株主総会の招集手続に違いはありますか。」 あなた:「書面又は電磁的方法による議決権行使を認めないことを前提とすると、 総会の日の B 前までに招集通知を発送しなければならないのは、 ①の方法でも②の方法でも変わらないのですが、②の方法の場合、自己を 取得の相手に加える旨の請求を行う機会を与えるために、その請求ができ ることを招集通知の発送期限までに株主に通知しなければなりません。こ の通知と招集通知を兼ねるとすると、②の方法の場合の方が、①の方法の 場合よりも早く招集通知を発送しなければならないことになります。」 甲 氏:「決議要件はどうでしょうか。」 あなた:「 C 」 甲 氏:「なるほど。ありがとうございました。」 DKJC-1E 2 あなた:「今回の場合にどちらの手続が具体的に良いのかは、専門家にきちんと相 談した方がいいと思います。顧問弁護士の先生に連絡を取ってみてはどう でしょうか。」 (設問 ) 会話の中の空欄Aに入る語句として最も適切なものはどれか。

  1. 資本金の額
  2. 資本準備金の額
  3. 投資有価証券の額
  4. 分配可能額 (設問 ) 会話の中の空欄Bに入る期間として最も適切なものはどれか。
  5. 週間
  6. 週間
  7. か月 (設問) 会話の中の空欄Cに入る記述として最も適切なものはどれか。
  8. ①の方法の場合でも②の方法の場合でも特別決議です。
  9. ①の方法の場合でも②の方法の場合でも普通決議です。
  10. ①の方法の場合には特別決議ですが、②の方法の場合には普通決議です。
  11. ①の方法の場合には普通決議ですが、②の方法の場合には特別決議です。 DKJC-1E
▼ 解答・解説を見る

正解:

解答:設問1=エ、設問2=ウ(2週間)、設問3=ア

非公開・取締役会設置会社による有償の自己株式取得(株主との合意による取得)の手続に関する問題。

設問1(空欄A)=エ 有償の自己株式取得は剰余金分配規制が及び、取得対価の帳簿価格の総額は分配可能額を超えてはならない(会社法461条1項)。

  • ア(×)資本金の額、イ(×)資本準備金の額、ウ(×)投資有価証券の額:いずれも分配可能額の上限規制とは無関係。
  • エ(○):分配可能額が正しい。

設問2(空欄B)=ウ(2週間) 書面・電磁的方法による議決権行使を認めない場合、非公開会社の株主総会の招集通知は、総会の日の2週間前まで(取締役会設置会社の場合)に発しなければならない(会社法299条1項)。①の方法・②の方法で招集通知期限自体は変わらない。

  • 1日・1週間・1か月はいずれも誤り。**2週間(ウ)**が正しい。

設問3(空欄C)=ア 株主全員に勧誘する方法(①)も特定株主から取得する方法(②)も、株主総会の取得枠決定は特別決議による(会社法156条1項・160条1項、309条2項2号)。したがって①でも②でも特別決議。

  • ア(○):①も②も特別決議。
  • イ(×):普通決議では足りない。
  • ウ・エ(×):①②で決議要件が異なるとする点が誤り。

よって 設問1=エ、設問2=ウ、設問3=ア

#会社の種類・設立#株式・機関#計算・配当

← 経営法務の一覧へ戻る