第9問
内生的経済成長モデル(AK モデル)は次のように定義される。 いま、Y:GDP または生産量、K:資本ストック(人的資本や公共資本を含み、 資本減耗は考えない)、A:資本の生産効率を示す定数とすれば、生産関数は、 Y =AK であり、これを労働単位あたりで示せば、 y =Ak になる。ここで、y:労働単位あたりの生産量、k:資本―労働比率である。 上記の生産関数から生産量の増加率と資本の成長率は同じになる。また、ΔK が 投資に等しく、投資は貯蓄sY(s:貯蓄率)と一致することを考慮すれば、 ΔY Y =ΔK K =sY K =sA が得られる。 さらに、労働人口の成長率をn とすれば、 Δy y =Δk k =sA -n が成立する。 ここから得られる記述として、最も不適切なものはどれか。
- ア sA >n であれば、資本―労働比率と労働単位あたりの生産量は(sA -n)の 比率で永続的に成長する。
- イ 政策的に資本の生産効率を高めることができれば、経済成長率も上昇する。
- ウ 生産関数は収穫逓減の特徴を持ち、長期的に経済成長は安定的な均衡成長の水 準に収束する。
- エ 貯蓄率が高まれば、経済成長率も上昇する。 ― 8― ◇M1(688―10)
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正解:ウ
解答:ウ
〔リード〕内生的経済成長モデル(AKモデル)。生産関数 Y=AK は資本に関して収穫一定(限界生産物が一定でAに等しい)であり、新古典派(ソロー)モデルの収穫逓減と異なる点が核心。資本―労働比率の成長率は sA-n で与えられる。最も「不適切」なものを選ぶ。
- ア(○):sA>n であれば、資本―労働比率kと労働1単位あたり生産量y は(sA-n)の率で永続的に成長する。AKモデルでは成長が止まらず持続するのが特徴。正しい。
- イ(○):資本の生産効率Aを政策的に高めれば、成長率(sA や sA-n)が上昇する。正しい。
- ウ(×・最も不適切):AKモデルの生産関数は資本に関して「収穫一定」であり、収穫逓減ではない。そのため成長率は資本蓄積につれて低下せず、新古典派のように安定的な均衡成長水準(定常状態)に収束しない。記述が誤り。
- エ(○):貯蓄率sが高まれば成長率(sA、sA-n)が上昇する。新古典派では貯蓄率上昇は水準効果のみで長期成長率に影響しないが、AKモデルでは恒久的に成長率を高める。正しい。
よって、最も不適切なものは ウ。