企業経営理論 H23年度 第29問

第29問

ある地方都市の小規模菓子メーカーA 社(資本金3,000万円)は、クッキー、ビ スケットを中心に安心、安全な菓子作りに取り組んできた。低カロリーのクッキー は同社の主力商品であるが、健康志向の高まりによって大手メーカーも同様のクッ キーを製造・販売するようになっており、売上は伸び悩んでいた。また、低カロ リーのクッキーは、カロリーを抑えるために砂糖を使わず、乳脂肪分も控えている ため、従来のクッキーに比べてどうしても甘みや口当たりに劣っており、その購買 者は限られていた。 しかし最近A 社は長年の努力の結果、低カロリーながら従来のクッキーに勝る とも劣らない味を実現する新技術の開発に成功した。同社ではこの画期的な技術に よる新製品を今後の存続・成長の柱として育てるために、慎重にその市場導入の方 法を検討している。この新製品の「低カロリーでおいしい」というベネフィットは、 十分に消費者に知覚されるものであることが調査によって確認されていたので、価 格は箱380円(20枚、80グラム)と従来製品よりも150円ほど高い価格を設定 し、これを堅持したいと考えていた。 この新製品の流通経路政策として、最も不適切なものはどれか。 なお、現時点での同社の売上は割が地元スーパーチェーン、割が自社のホー ムページによるものである。

  1. ンターネットによる直接販売を強化するために、自社ホームページに加え、
  2. ンターネット上のショッピングモールに出店する。
  3. ロリー摂取に敏感な人が多くいると考えられる病院やホテルの売店で販売す る。
  4. 新製品の付加価値をアピールするために、地元の洋菓子店を新たな販路として 開拓する。
  5. 販売量を拡大するために、全国チェーンの大手スーパーにプライベート・ブラ ンドとして供給する。 ― 31― ◇M3(688―76)
▼ 解答・解説を見る

正解:

解答:エ

〔リード〕A社は「低カロリーでおいしい」という明確な付加価値をもつ画期的新製品で、従来品より150円高い価格を堅持したい。よって価格・ブランド価値を維持できる流通経路(高付加価値・プレミアム戦略に適合する選択的・限定的チャネル)が望ましい。「最も不適切」を選ぶ。

  • ア(○):自社HPに加えネット上のショッピングモールへ出店し直接販売を強化する。価格を自社でコントロールでき、付加価値訴求も可能で適切。
  • イ(○):カロリーに敏感な層が多い病院やホテルの売店での販売は、ターゲット顧客に的確にリーチでき、価格も維持しやすく適切。
  • ウ(○):地元洋菓子店を新販路とすることは、品質・付加価値をアピールでき、ブランド価値・価格を保ちやすい選択的チャネルで適切。
  • エ(×):全国大手スーパーへプライベート・ブランド(PB)として供給すると、自社ブランドが表に出ず付加価値訴求ができないうえ、低価格・コスト削減圧力にさらされ、堅持したい高価格を維持できない。価格・ブランド戦略に真っ向から反し、最も不適切。

よって

#製品・ブランド戦略#消費者行動

← 企業経営理論の一覧へ戻る