企業経営理論 H23年度 第19問

第19問

企業はその生存にとって必要な資源を、外部環境を構成する他の組織に依存して いるために、そうしたステイクホルダーからのコントロールを受け入れる必要があ るという「資源依存モデル」がある。 資源依存モデルに関する以下の設問に答えよ。 (

設問1

) 資源依存モデルによれば、環境の構造的特徴によって、焦点組織が直面する不 確実性は異なってくるという。このことに関する記述として最も適切なものはど れか。

  1. 組織間相互依存度が高くても、重要な資源が豊かにある場合、組織間コンフ リクトの可能性は低くなるため、焦点組織が直面する不確実性は低くなる。
  2. 組織間で権力の集中度が高くなると、組織間コンフリクトの可能性が高くな るため、焦点組織が直面する不確実性は高くなる。
  3. 組織間で権力の集中度が低くなると、組織間の相互依存度が高くなり、組織 間コンフリクトの可能性が高くなるため、焦点組織が直面する不確実性は高く なる。
  4. 組織間の連結の度合いが高く、組織間で権力の集中度が低い場合、組織間コ ンフリクトの可能性が低くなるため、焦点組織が直面する不確実性は低くな る。
  5. 組織間の連結の度合いが高いと、組織間の相互依存度が高くなり、組織間コ ンフリクトの可能性が低くなるため、焦点組織が直面する不確実性は低くな る。 ― 20― ◇M3(688―65) (

設問2

) 資源依存モデルによれば、環境コンテキストは、組織の行動や構造の変化、経 営者の継承や交代、組織内の権力関係の変化などをもたらすという。このことに 関する記述として最も適切なものはどれか。

  1. 環境コンテキストが組織内の権力関係に影響を与えることを通じて、誰が経 営者として選任されるかに影響を与え、組織の行動や構造の変化をもたらし、 その結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。
  2. 環境コンテキストが組織内の権力関係に影響を与え、組織の行動や構造の変 化をもたらすので、誰が経営者として選任されるかを決めることを通じて、そ の結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。
  3. 環境コンテキストが組織の行動や構造の変化をもたらし、組織内の権力関係 に影響を与えることを通じて、誰が経営者として選任されるかに影響を与え、 その結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。
  4. 環境コンテキストが誰が経営者として選任されるかに影響を与えることを通 じて、組織内の権力関係に影響を与え、組織の行動や構造の変化をもたらし、 その結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。
  5. 環境コンテキストが誰が経営者として選任されるかに影響を与えることを通 じて、組織の行動や構造の変化をもたらし、組織内の権力関係に影響を与え、 その結果、環境コンテキストに変化を与えようとする。 ― 21― ◇M3(688―66)
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正解: 設問1 設問2

解答:設問1=ア、設問2=ア

〔リード〕Pfeffer & Salancikの資源依存モデル。組織は生存に必要な資源を外部の他組織に依存し、その依存ゆえに環境からの不確実性に直面する。

設問1(環境の構造的特徴と不確実性) 最も適切なものを選ぶ。

  • ア(○):相互依存度が高くても、重要資源が豊富(資源の集中度が低い=munificentな環境)であれば、奪い合いによるコンフリクトが起きにくく、焦点組織が直面する不確実性は低くなる。妥当。
  • イ(×):権力(資源)の集中度が高いと不確実性は高くなりやすいが、その理由を「組織間コンフリクトの可能性が高くなるため」とするのは因果が不正確。集中度の高さは少数の供給者への依存(交渉力の偏り)を通じて不確実性を高める。
  • ウ(×):権力の集中度が低い(資源が分散)と、依存先の選択肢が広がりコンフリクトは生じにくく不確実性は低くなる方向。記述は逆。
  • エ(×):連結度が高く権力集中度が低い場合にコンフリクトが低い点は一応の方向性だが、設問1で最も整合的なのはアであり、本肢は構造的特徴と不確実性の関係づけが不適切。
  • オ(×):連結度が高いと相互依存度は高まるが、それが直ちに「コンフリクトが低く不確実性が低い」とは限らず、関係づけが不適切。

設問2(環境コンテキストと経営者継承) 最も適切なものを選ぶ。資源依存モデルでは、環境コンテキストが組織内の権力関係に影響を与え→その権力関係が誰を経営者に選ぶかを規定し→経営者が組織の行動・構造を変化させ→ひいては環境に働きかける、という連鎖を想定する。

  • ア(○):「環境コンテキスト→組織内の権力関係→経営者の選任→組織の行動・構造の変化→環境への働きかけ」という順序で、資源依存モデルの因果連鎖に合致する。
  • イ〜オ(×):いずれも「権力関係」「経営者選任」「行動・構造の変化」の順序が入れ替わっており、環境が権力関係を介して経営者選任に作用するという本モデルの順序に反する。

よって 設問1=ア、設問2=ア

#組織理論・コンティンジェンシー#組織行動・コミットメント

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