企業経営理論 H23年度 第7問

第7問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 単一の事業を営む企業が多角化によって事業構造を変革し、持続的な成長を実現 する行動は、「範囲の経済」の視点から説明できる。「範囲の経済」が存在すれば、企 業が複数の事業を展開することによって、それぞれの事業を独立に営むときより も、より経済的な事業運営が可能になる。 (設問) 文中の下線部に関する以下の文章の空欄A~Cにあてはまるものの最も適切な 組み合わせを下記の解答群から選べ。 つの製品の生産量をそれぞれx1、x2で表し、その費用関数をC(x1,x2)で 表したとき、「範囲の経済」の関係は以下のように示すことができる。 C(x1,x2) A C(x1,) B C(,x2) この関係が成立すれば「範囲の経済」が存在する。この式のC(x1,x2)がx1、x2 を同時に生産、販売するときの C であり、C(x1,)が第製品だけ を生産、販売するときの C 、C(,x2)が第製品だけを生産、販売す るときの C である。

  1. A:> B:+ C:総費用
  2. A:> B:- C:平均費用
  3. A:< B:- C:総費用
  4. A:> B:+ C:平均費用
  5. A:< B:+ C:総費用 ― 8― ◇M3(688―53) (設問) 文中の下線部に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
  6. つの事業がお互いに補い合ってつの物的資源をより完全に利用して生ま れる効果は、範囲の経済の効果である。
  7. つの事業がお互いに情報的資源を使い合うと、資源の特質から使用量の限 界がなく他の分野で同時多重利用できるため、物的資源を使い合うよりも効率 性の高い範囲の経済を生み出せる。
  8. 合成繊維企業が蓄積した自らの化学技術を使用し、本業の補完・関連分野の 事業に進出するのは範囲の経済の例である。
  9. 範囲の経済が生まれるのは、基本的には未利用資源の活用が原因であり、企 業規模が大きいほど経済効率が良くなることを意味する。
  10. 範囲の経済は、多角化が進みすぎると新たに進出した事業と企業の保持して いるコア・コンピタンスとの関連性が希薄になって生じなくなる。 ― 9― ◇M3(688―54)
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正解:

解答:設問1=ウ、設問2(公式正解)=オ

「範囲の経済(economies of scope)」に関する出題。範囲の経済とは、複数事業を同一企業内で同時に営む方が、別々に営むより費用が小さくなる効果。費用関数では C(x1,x2) < C(x1,0) + C(0,x2) が成立すること。公式正解は

設問1(空欄A〜Cの組み合わせ)

範囲の経済の定義式は「同時生産の総費用 < 個別生産の総費用の和」。

  • 空欄A:C(x1,x2) と C(x1,0)…C(0,x2) の関係は「<(より小さい)」。
  • 空欄B:C(x1,0) と C(0,x2) を結ぶのは「+(加算)」。
  • 空欄C:C は各生産・販売における「総費用」。 よって A:<、B:+、C:総費用の組み合わせ=が正しい。

設問2(範囲の経済に関する記述/最も不適切なもの)

  • ア(○):2事業が補い合って1つの物的資源をより完全に利用して生まれる効果は、範囲の経済の効果。妥当。
  • イ(○):情報的資源は同時多重利用が可能で使用量に限界がないため、物的資源を使い合うより効率の高い範囲の経済を生む。妥当。
  • ウ(○):合成繊維企業が蓄積した化学技術を本業の補完・関連分野に活用するのは範囲の経済の例。妥当。
  • エ(○):範囲の経済は基本的に未利用資源の活用から生じる。なお末尾の「企業規模が大きいほど経済効率が良くなる」は規模の経済寄りの表現だが、未利用資源活用が原因という主旨は範囲の経済の説明として許容される。
  • オ(×):「多角化が進みすぎるとコア・コンピタンスとの関連性が希薄になって範囲の経済が生じなくなる」という記述。範囲の経済は資源の共有・多重利用から生じるものであり、関連性の希薄化を一律に「生じなくなる」と断定する点が最も不適切とされる。

公式正解は

#経営戦略・全社戦略#競争戦略

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