第6問
次の財政・金融政策の効果と有効性に関する文章を読んで、下記の設問に答え よ。 いま、生産物市場の均衡条件が Y =C +I +G で与えられ、Y はGDP、C は消費支出、I は民間投資支出、G は政府支出である。 ここで、 消費関数 C =C0+c(Y -T) C0:独立消費、c:限界消費性向(<c <)、T:租税収入 投資関数 I =I0-ir I0:独立投資、i:投資の利子感応度、r:利子率 とする。 他方、貨幣市場の均衡条件は M =L であり、M は貨幣供給、L は貨幣需要である。 ここで、 貨幣需要関数 L =kY -hr k:貨幣需要の所得感応度、h:貨幣需要の利子感応度 とする。 これらを連立させることにより、均衡GDP は Y = 1-c +i k h (C0-cT +I0+G +i h M) として求められる。 上記の式から、 財政政策(政府支出)の乗数は ΔY ΔG = 1-c +i k h である。 ― 8― ◇M1(295―10) また、 金融政策の乗数は ΔY ΔM = i h 1-c +i k h である。 (
設問1
) 文中の下線部について、財政政策の効果に関する説明として、最も適切なも のの組み合わせを下記の解答群から選べ。 a 貨幣需要の利子感応度が小さいほど、クラウディング・アウトの程度が小さ く、財政政策に伴う所得拡大効果は大きくなる。 b 限界貯蓄性向が大きいほど、財政政策の乗数はより大きくなる。 c 投資の利子感応度が大きいほど、クラウディング・アウトの程度が大きく、 財政政策に伴う所得拡大効果は小さくなる。 d「流動性のわな」に陥った場合、財政政策の乗数は 1-c で示される。
- ア aとb
- イ aとd
- ウ bとc
- エ bとd
- オ cとd ― 9― ◇M1(295―11) (
設問2
) 文中の下線部について、金融政策の効果に関する説明として、最も適切なも のの組み合わせを下記の解答群から選べ。 a 貨幣需要の利子感応度が小さいほど、貨幣供給の増加に伴う利子率の低下幅 が大きく、金融政策の所得拡大効果が大きくなる。 b 投資の利子感応度が大きいほど、利子率の低下に伴う民間投資支出の拡大幅 が大きく、金融政策の有効性が高まる。 c 投資の利子感応度が無限大の場合、金融政策の乗数はゼロになる。 d「流動性のわな」に陥った場合、金融政策の乗数は k になる。
- ア aとb
- イ aとd
- ウ bとc
- エ bとd
- オ cとd ― 10― ◇M1(295―12)
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正解: 設問1 オ 設問2 ア
解答:設問1=オ、設問2=ア
財政乗数 ΔY/ΔG=1/(1-c+ik/h)、金融乗数 ΔY/ΔM=(i/h)/(1-c+ik/h)。分母の ik/h が大きいほど乗数は小さくなる。
設問1(正解:オ)財政政策
- a(誤):貨幣需要の利子感応度hが小さいほど分母 ik/h は大きくなり乗数は小さく、クラウディング・アウトは「大きく」なる。記述は逆で誤り。
- b(誤):限界貯蓄性向(1-c)が大きいほど分母が大きくなり乗数は「小さく」なる。記述は逆で誤り。
- c(正):投資の利子感応度iが大きいほど分母 ik/h が大きくなり乗数は小さく、クラウディング・アウトが大きく所得拡大効果は小さくなる。正しい。
- d(正):流動性のわなでは h→∞ より ik/h→0、財政乗数は 1/(1-c) となる。正しい。
正しい組み合わせはcとd。
設問2(正解:ア)金融政策
- a(正):hが小さいほど貨幣供給増に対する利子率低下幅が大きく、投資・所得拡大効果が大きい。正しい。
- b(正):投資の利子感応度iが大きいほど利子率低下に伴う投資拡大幅が大きく、金融政策の有効性が高まる。正しい。
- c(誤):投資の利子感応度が無限大のとき金融乗数は (i/h)/(1-c+ik/h)→1/k となり、ゼロではない。誤り。
- d(誤):流動性のわな(h→∞)では金融乗数は (i/h)/(1-c+ik/h)→0 となる。「k になる」は誤り。
正しい組み合わせはaとb。
よって設問1は オ、設問2は ア。