第9問
企業は新規参入を阻止して競争激化を抑制しようとするが、他方では業界内部の 類似する戦略をとる企業の間で戦略グループが形成され、それが企業の自由な戦略 行動を抑制するように作用し始める。前者は参入障壁であり、後者は移動障壁であ る。これらの障壁と戦略の関係に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- ア ある技術に基づいて生産し販売される製品分野は、ライバル企業の間で製品の 類似性が高くなるので、企業は顧客忠誠心やブランド力を高めてライバルとの差 別化を図ることが重要になる。
- イ 業界特有の販売チャネルや仕入れルートを同業者間で強化することは、他社の 参入を防ぐには有効である。
- ウ 業界内の競争を通じて形成された事業システムやマネジメント方式は、企業に 戦略上の癖や慣性を生み出すので、企業が移動障壁に直面する事態にはならな い。
- エ 垂直統合や共同化は取引先への交渉力の強化や新たな技術の獲得には有効であ るが、その縛りが強いと自社の戦略の成否が他社の戦略展開能力に影響されるよ うになる。
- オ 同業者間に共通する戦略課題について協調を維持すると、やがて戦略の類似性 が強まり、新規な戦略の展開が困難になる。 ― 10― ◇M3(295―61)
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正解:ウ
解答:ウ
〔リード〕参入障壁(業界外からの新規参入を阻む)と移動障壁(業界内の戦略グループ間の移動を阻む)と戦略の関係について「最も不適切」なものを選ぶ。移動障壁は戦略の慣性・癖から生じる点が論点。
- ア(×):同一技術に基づく製品分野では企業間の製品類似性が高まるため、顧客忠誠心やブランド力を高めて差別化を図ることが重要、という記述は適切。
- イ(×):業界特有の販売チャネルや仕入れルートを同業者間で強化することは、新規参入者がそれらを確保しにくくなるため、参入障壁として有効で適切。
- ウ(○:最も不適切):業界内競争を通じて形成された事業システムやマネジメント方式は、企業に戦略上の癖や慣性(コミットメントの蓄積)を生む。これこそが他の戦略グループへ移りにくくする「移動障壁」を生み出す。「移動障壁に直面する事態にはならない」とするのは因果が逆で、最も不適切。
- エ(×):垂直統合や共同化は交渉力強化や技術獲得に有効だが、縛りが強いと自社戦略の成否が他社の戦略展開能力に左右される、という指摘は適切。
- オ(×):同業者間で共通の戦略課題に協調を続けると戦略の類似性が強まり、新規な戦略展開が困難になる(移動障壁の形成)。適切。
よって ウ。