第13問
X 社は商品の物流を担っている株式会社であるが、ソフトウェアの開発を専門と する株式会社であるY 社に対して、事業に使用するシステムに組み込むソフト ウェアの開発をしてほしいと考えている。 そこで、X 社は、自社の事業所内の一部を作業場所として提供し、Y 社の従業員 でソフトウェア技術者であるZ 氏に、その作業場所を利用して、システム開発お よびその保守の作業にあたらせることを予定している。 次は中小企業診断士のあなたとX 社の総務担当部長の会話であるが、会話中の 空欄A~Cに入る用語の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選 べ。 部 長:「Z 氏を推薦してきたY 社に『早急に新しいシステムがほしいので、来月 から始めたいね』と言ったら、すぐに A 書を持ってきたよ。でも ね、すべて先方の責任として、だけれども当社の指示はきちんと守るよう に、うちの社員と同様に使えるよう、交渉したいなぁと思うのだけど。」 あなた:「それは、 B 書ではないのですか。」 部 長:「違うね。何かまずいの。」 あなた:「Y 社は派遣業者として届出や許可がある業者なのですか。」 部 長:「うーん、わからないねー。」 あなた:「Y 社に届出や許可がないのであれば、Y 社との契約は C などで あることが必要ですから、相手方に一定の裁量を与えなければダメです よ。」 部 長:「どうして。」 あなた:「 B は法律で労働者を保護するためにさまざまな規制がありま す。これを脱法するために C 書にして対応しようとする企業があ ります。この契約書のタイトルは『 A 書』になることもあります。 ただ、これらは偽装請負や偽装委託などといって、違法な行為になりま す。」 ― 18― ◇M5(557―131) 部 長:「ああ、聞いたことがある言葉だね。そんな悪いことをする会社に思えな かったけど。」 あなた:「 C といえるためには、Z 氏がその作業を遂行するにあたり、そ の遂行方法に関する指示その他の管理をY 社が行い、Y 社が自らの責任 で御社に仕事完成物を納品することが必要となります。ですから、契約書 もY 社に管理権限があることになっているのでしょうし、実態もそうで なくてはなりません。就業場所が御社ということですと、就業規則なども 他の社員と同じように守ってもらいたいでしょうし、なかなか難しそうで すね。」 部 長:「それでは、このままだと当社は基本的にわざわざY 社を通じてZ 氏を管 理しなくてはならないということなんだね。」 あなた:「そのとおりです。ですから、御社がパート社員のようにZ 氏を使いたい のであれば、Y 社が届出や許可を受けている派遣業者か確認しなければな らないと思います。」 部 長:「適法な派遣業者か確認して、 B の関係にしてもらうほうがよい ということですね。」 あなた:「その方がコンプライアンスにかなうと思いますよ。」
- ア A:業務委託契約 B:雇用契約 C:準委任契約
- イ A:業務委託契約 B:労働者派遣契約 C:請負契約
- ウ A:準委任契約 B:雇用契約 C:請負契約
- エ A:準委任契約 B:労働者派遣契約 C:業務委託契約 ― 19― ◇M5(557―132)
▼ 解答・解説を見る
正解:イ
解答:イ
〔リード〕外部技術者(Y社従業員Z氏)を自社事業所内で就労させる場合の契約類型を区別する問題。会話の流れは次のとおり。Y社が当初持ってきた書面(空欄A)は「業務委託契約書」。しかし、X社が「自社の指示を守らせ、自社社員と同様に使いたい」という実態は、労働者派遣(空欄B=労働者派遣契約)に当たる。Y社に派遣の届出・許可がないのであれば、適法に成立させるには請負契約(空欄C=請負契約。注文者が労働者を直接指揮命令せず、受託者が自らの責任で仕事完成物を納品し相手方に裁量がある)の形でなければならない。指揮命令の実態が注文者側にあるのに請負・業務委託の形式をとると「偽装請負」となり違法。会話末尾でZ氏を自社のパート社員のように使いたいなら適法な派遣業者か確認し労働者派遣の関係にすべき、と整理している。
- イ(○):A=業務委託契約、B=労働者派遣契約、C=請負契約。Aの書面のタイトルが業務委託契約であること、自社指揮命令で使う実態が労働者派遣に当たること、届出・許可がない場合に相手方の裁量を要する形態が請負であること、という会話の論理に整合する。
- ア(×):B=雇用契約とするが、Z氏はY社の従業員でありX社と雇用関係を結ぶ話ではない。X社がZ氏を使う関係は労働者派遣であって雇用契約ではない。
- ウ(×):A=準委任契約とするが、Y社が最初に持ってきた書面のタイトルは「業務委託契約書」であり、また会話末尾の「このタイトルがA書になることもある」という流れと整合しない。
- エ(×):C=業務委託契約とするが、Y社が自らの責任で仕事完成物を納品する(仕事の完成を約する)という説明は請負の特徴であり、Cは請負契約が適切。
よって イ。