第12問
D 株式会社(以下「D 社」という。)は、E 株式会社(以下「E 社」という。)から、E 社 がその著作権および著作者隣接権を保有する音楽コンテンツ(以下「本コンテンツ」 という。)の管理・運用を依頼され、これをオンライン上で配信してユーザーに課金 するサービスを提供することを約した。本コンテンツの管理・運用に関するD 社 の著作権法上の義務に関する記述として最も適切なものはどれか。
- ア 本コンテンツについて、E 社の請求があるときは、原則として、E 社に対し配 信した実績を証明する資料を開示する義務がある。
- イ 本コンテンツについて、原則として、その著作者である第三者やE 社の指示 にしたがい、著作者名を表示し、あるいは、表示しない義務がある。
- ウ 本コンテンツについて、自社の提供するサービスを通じて音楽コンテンツを取 得したユーザーが、取得したデータを不正に利用しないように、データに技術的 な保護手段を講じて管理する義務がある。
- エ 本コンテンツについて、ユーザーが不正利用したことが発覚した場合、E 社の 請求があるときは、原則として、配信したユーザーに関する情報をE 社に開示 する義務がある。 ― 17― ◇M5(557―130)
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正解:イ
解答:イ
〔リード〕E社が著作権・著作隣接権を有する音楽コンテンツを、D社が管理・運用してオンライン配信する場合の、D社の著作権法上の義務に関する問題。著作者には人格的利益として**氏名表示権(著作権法19条)**があり、著作物の公衆への提供・提示に際し、著作者名を表示するか否か、実名・変名いずれを表示するかを決定できる。コンテンツを利用する者は、原則として著作者の意思(表示する/しない)に従う必要がある。
- ア(×):「E社の請求があれば配信実績を証明する資料を開示する義務がある」というのは著作権法上当然に課される義務ではなく、当事者間の契約(委託契約)で定めるべき事項。著作権法上の義務として最も適切とはいえない。
- イ(○):本コンテンツについて、原則として、その著作者である第三者やE社の指示に従い、著作者名を表示し、あるいは表示しない義務がある、という説明は氏名表示権(著作権法19条)に対応するものであり正しい。
- ウ(×):技術的保護手段(コピーガード等)を講じて管理する義務が当然に著作権法上課されるわけではない。技術的保護手段の回避規制は別の規律であり、配信者に保護手段を講じる法的義務を負わせるものではない。
- エ(×):ユーザーの不正利用が発覚した場合に、E社の請求でユーザー情報を開示する義務が当然に著作権法上あるわけではない。発信者情報開示等は別制度・別要件の問題であり、著作権法上の管理運用義務として当然に導かれるものではない。
よって イ。