第3問
個人で雑貨の輸入業を営んでいる甲氏とあなたとの間の以下の会話を読んで、会 話中の空欄に入る説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。 甲 氏:「先日、ひょんなことから同業者の乙という方と知り合って、会社組織に して、一緒に仕事をしようということになったんです。ただ、乙さんも 私も、ノウハウや在庫はあっても、現金はあまり持っておらず、資本金 200万円くらいにしかなりません。これで会社は設立できるのですか。」 あなた:「今は、資本金200万円でも株式会社を設立することはできますよ。」 甲 氏:「そうなんですか。でも、資本金200万円だと、取引先の信用が得られな いような気もするんですよね……。うーん……。」 あなた:「それでしたら、甲さんや乙さんが持っている在庫などを現物出資して、 資本金に組み入れることを検討してはいかがですか。」 甲 氏:「へえ、そういったことができるのですか。私が保有している在庫などは たぶん400万円分くらいありますから、乙さんのもあわせると資本金は 1,000万円くらいになるかもしれませんね。それなら、取引先からも十分 に信用を得られそうですね。」 あなた:「 」 ― 4― ◇M5(557―117)
- ア 800万円を現物出資の金額とすると、裁判所が選任する検査役の調査が必要 になりますが、例外として、弁護士や税理士などの証明書があれば、検査役の 調査は不要になります。
- イ 現金による出資金と現物出資の金額が併せて500万円を超えると、裁判所が 選任する検査役の調査が必要となりますから、現物出資の金額は280万円くら いにした方がよいでしょう。
- ウ 現物出資の金額が300万円を超えた場合、裁判所が選任する検査役の調査が 必要になります。そうすると、費用も時間もかかることになりますから、ご注 意下さい。
- エ そうですね。資本金1,000万円程度であれば、現物出資をするうえで何の問 題もありませんから、すぐに現物出資して会社を設立しましょう。 ― 5― ◇M5(557―118)
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正解:ア
解答:ア
〔リード〕現物出資など変態設立事項(会社法28条)については、原則として裁判所が選任する検査役の調査が必要だが(会社法33条)、一定の場合には調査が不要となる例外がある(会社法33条10項)。代表的な例外は、(1)現物出資・財産引受けの目的財産の価額の総額が500万円を超えない場合、(2)市場価格のある有価証券で定款記載価額が市場価格を超えない場合、(3)現物出資財産等の価額が相当であることについて弁護士・公認会計士・税理士等の証明(不動産は加えて不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合、である。本問では現物出資額が約800万円(500万円超)なので原則検査役調査が必要だが、専門家の証明により省略できる。
- ア(○):800万円を現物出資額とすると500万円を超えるため検査役調査が原則必要だが、弁護士や税理士などの証明書があれば検査役調査は不要になる、という説明は会社法33条10項の例外に合致し正しい。
- イ(×):「現金出資と現物出資を合わせて500万円超で検査役調査が必要」とする点が誤り。500万円基準は現物出資・財産引受けの目的財産の価額についての基準であり、金銭出資は対象外。よって現物出資額を280万円に抑える必要もない。
- ウ(×):検査役調査が必要となる基準を「300万円超」とする点が誤り。正しくは500万円超。
- エ(×):約1,000万円の現物出資について「何の問題もなく、すぐに現物出資できる」とする点が誤り。500万円を超える現物出資は原則検査役調査が必要で、省略するには専門家の証明等の手続を要する。
よって ア。