第8問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 地域経済の活性化のためには、地域の中小企業の事業展開を支えるための資金調 達環境の整備が不可欠であり、とりわけ、地域金融機関に期待される役割が大き い。 中小企業の多くは、資金調達面で借入金への依存度が高く、加えて自社の本社 所在地と同じ都道府県内に本店を置く地域金融機関をメインバンクとしているため である。 地域金融機関には、地域の中小企業の技術や将来性に関する「目利き」能力を向上 させるとともに、貸し手である金融機関と借り手である中小企業の間の情報の非対 称性を克服し、 不動産担保や保証に過度に依存しない融資の拡大を含め、地域密着 型金融を推進していくことが望まれている。他方、中小企業の側も、地域金融機関 に対して事業内容や財務状態に関して十分な情報を提供する等、コーポレートガバ ナンス構築への取り組みを進めることが求められる。経済環境が厳しさを増す中 で、地域における中小企業金融の機能を維持・強化するためには、地域金融機関と 中小企業の双方が、それぞれの課題に取り組む必要がある。 ― 10― ◇M7(557―177) (設問) 文中の下線部について、財務省「法人企業統計年報(2006年度)」に基づき、 企業の従業員規模別(従業員数20人以下、同21~100人、同101~300人、同 301人以上)の資金調達構成を見た場合に最も適切なものはどれか。 ここで、資金調達は負債、資本、割引手形によって行われるものとし、借入金 依存度とは、資金調達に占める金融機関およびその他からの長期・短期借入金の 割合を示す。
- ア 従業員規模が小さくなるにつれて、借入金依存度は高くなっている。
- イ 従業員数20人以下の企業では、借入金依存度が約割である。
- ウ 従業員数101~300人の企業では、借入金依存度が約割である。
- エ 従業員数301人以上の企業では、資金調達に占める社債の割合が割以上で ある。 (設問) 文中の下線部に関して、不動産担保や保証に過度に依存した伝統的な融資方 法に代わり、近年金融機関が取り組んでいる新たな資金供給方法として、最も不 適切なものはどれか。
- オ レジットスコアリングモデル利用融資
- 私募債
- シンジケートローン
- 政府系金融機関の代理貸付制度
- 知的財産権担保融資 ― 11― ◇M7(557―178)
▼ 解答・解説を見る
正解:ア
解答:ア
設問1は、財務省「法人企業統計年報(2006年度)」に基づく従業員規模別の資金調達構成(借入金依存度)の正誤を問う。中小企業ほど直接金融へのアクセスが乏しく借入金(間接金融)への依存が高いのが一般的傾向である。
- ア(○):従業員規模が小さくなるにつれて借入金依存度は高くなる。規模が小さいほど社債・株式等の直接金融が利用しにくく借入金依存が強まるという実態に合致する。
- イ(×):従業員20人以下の借入金依存度を約3割とするが、小規模企業の借入金依存度はこれより高く、数値が過小。
- ウ(×):従業員101~300人の借入金依存度を約4割とするが、規模が大きくなるほど依存度は低下しており、数値の整合が取れない。
- エ(×):従業員301人以上の企業で社債の割合が2割以上とするが、社債で資金調達できる中堅・大企業でも資金調達全体に占める社債比率がそれほど高いわけではなく、過大。
よって設問1は ア。
なお設問2(不動産担保・保証に過度に依存しない新たな資金供給方法として最も不適切なもの)は選択肢データが断片化している。クレジットスコアリングモデル利用融資・私募債・シンジケートローン・知的財産権担保融資が新たな手法に該当するのに対し、「政府系金融機関の代理貸付制度」は従来型の融資手法であり、これが最も不適切な選択肢となる点を補足する。