第9問
下図は、開放経済下におけるマクロ経済モデルを描いたものである。この図に関 する次の文章中の空欄A~Cに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群か ら選べ。 いま、小国モデル、完全資本移動、固定為替レート制、物価の硬直性、静学的な 為替レート予想を仮定する。下図は、これらの前提に基づき、生産物市場の均衡を 表すIS 曲線、貨幣市場の均衡を表すLM 曲線、自国利子率(r)と外国利子率(r*) が均等化することを表すBP 曲線を描いたものである。 ここで政府支出が増加すると、IS 曲線が右方にシフトし、新たなIS 曲線とLM 曲線の交点において A になる。このため、 B が生じる。結果とし て、 C になる。 ― 10― ◇M1(743―12)
- ア A:国際収支(経常収支と資本収支の合計)が赤字 B:外貨準備の減少と貨幣供給の減少 C:LM 曲線が左方にシフトして国際収支の均衡が回復するが、財政政策は 景気拡大に無効
- イ A:国際収支(経常収支と資本収支の合計)が黒字 B:外貨準備の増加と貨幣供給の増加 C:LM 曲線が右方にシフトして国際収支の均衡が回復し、財政政策は景気 拡大に有効
- ウ A:国際収支(経常収支と資本収支の合計)が黒字 B:円高 C:LM 曲線が左方にシフトして国際収支の均衡が回復するが、財政政策は 景気拡大に無効
- エ A:経常収支が黒字 B:外貨準備の増加と貨幣供給の増加 C:LM 曲線が右方にシフトして経常収支の均衡が回復し、財政政策は景気 拡大に有効
- オ A:資本収支が赤字 B:円安 C:LM 曲線が右方にシフトして資本収支の均衡が回復し、財政政策は景気 拡大に有効 ― 11― ◇M1(743―13)
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正解:イ
解答:イ
〔リード〕マンデル=フレミング・モデル。小国・完全資本移動・固定為替相場制の下での財政政策の効果。BP曲線は完全資本移動のため水平。政府支出増でIS曲線が右シフトする。
- A=国際収支が黒字(○):IS右シフトで新たな交点の利子率はBP曲線(r=r*)より上方になる。国内利子率>外国利子率となり、資本が流入して国際収支(経常+資本)は黒字になる。
- B=外貨準備の増加と貨幣供給の増加(○):固定相場制では自国通貨高圧力に対し中央銀行が自国通貨売り・外貨買いの介入を行う。外貨準備が増加し、それに伴って貨幣供給(マネーサプライ)が増加する。
- C=LM曲線が右方シフトし国際収支の均衡が回復、財政政策は景気拡大に有効(○):貨幣供給増でLMが右シフトし、利子率がr*に戻るまで(国際収支が均衡するまで)GDPがさらに拡大する。結果として財政政策は有効。
各選択肢の正誤:
- ア(×):A「赤字」、B「外貨準備の減少・貨幣供給の減少」、C「LM左シフト・財政政策無効」はすべて逆方向で誤り。
- イ(○):黒字→外貨準備増・貨幣供給増→LM右シフトで均衡回復し財政政策有効。固定相場制での正しい帰結。
- ウ(×):B「円高」は固定相場制下では為替が動かない前提なので不適切。C「財政政策無効」も誤り。
- エ(×):Aは国際収支全体ではなく「経常収支」のみ、Cも「経常収支の均衡回復」とする点が不正確。完全資本移動下では資本収支を含む国際収支全体で判断する。
- オ(×):A「資本収支が赤字」、B「円安」が誤り(資本流入=資本収支黒字、固定相場で為替は不変)。
よって イ。