第9問
1990年代の日本経済は長期不況に見舞われ、しばしば失われた10年と呼ばれて いる。この間、経済はグローバル化し、企業は個々に戦略的対応を繰り広げてきて いる。このような失われた10年を説明するものとして、最も適切なものはどれ か。
- ア この時代、熟練技能労働者が韓国や中国の企業にも流出したため、一部では生 産技術の国際格差が縮まり、競争優位を失うことが見られた。
- イ 事業領域の選択と集中を行う企業が増えたが、狭い得意分野に特化したため市 場適応能力を失い長期にわたって業績不良に悩まされる企業が多発し、不況を長 引かせるところとなった。
- ウ 生産の海外移転が順調に進み、海外生産規模は1990年代末にはGDP の50% に達するようになり、税制面から海外子会社を連結対象にした新しい会計制度が 施行された。
- エ 不良債権処理のため低金利政策がとられたので、融資条件が大幅に緩和され、 中小企業は資金需要を容易に満たすことができたので、廃業件数は減少した。 ― 14― ◇M3(743―61)
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正解:ア
解答:ア
〔リード〕1990年代の日本経済「失われた10年」を説明するもの。「最も適切」を選ぶ。
- ア(○):この時期、熟練技能労働者が韓国・中国企業へ流出(技術移転)し、一部で生産技術の国際格差が縮小して日本企業が競争優位を失った例がみられた。事実認識として適切。
- イ(×):選択と集中(事業領域の絞り込み)を行った企業が増えたのは事実だが、それが「狭い分野への特化で市場適応能力を失い長期の業績不良を招き不況を長引かせた」と一般化するのは誤り。選択と集中はむしろ競争力強化策として評価される。
- ウ(×):海外生産規模が1990年代末にGDPの50%に達したという数値は明らかに過大で誤り。海外生産比率はそこまで高くなく、記述は事実に反する。
- エ(×):低金利政策がとられたのは事実だが、不良債権処理の過程で金融機関の貸し渋り・貸し剥がしが生じ、中小企業の資金需要が容易に満たされたわけではない。廃業件数も減少しておらず、記述は誤り。
よって、最も適切な ア。