経営法務 H20年度 第16問

第16問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 個人事業を営んでいるA 氏は、事業の信用を高めるため株式会社の設立を準備 中である。かねてから親交のある中小企業診断士であるあなたに、会社法が平成 18年月に施行されたことにより会社の設立方法が変わったと聞いたがどのよう になったのか質問があった。また、資本金はいくらにすればよいか、設立後に注意 しなければならないことについてアドバイスを求められた。 (

設問1

) 文中の下線部の説明として、最も不適切なものはどれか。

  1. 公告方法は定款の絶対的記載事項ではなくなった。ただし、定款に記載する 場合は、官報に掲載する方法か日刊新聞紙に掲載する方法のいずれかを定めな ければならない。
  2. 従来定められていた最低資本金制度が廃止された。ただし、設立に際して出 資される財産の価額または最低額を定款に記載しなければならないため、その 金額を下回ることはできない。
  3. 同一市町村内に同一の営業のために同一又は類似の商号を登記することがで きないという類似商号規制が廃止された。ただし、同一の商号を同一の住所に 登記することはできない。
  4. 発起設立において、払込みの取扱いをした銀行等の払込金保管証明制度が廃 止された。ただし、募集設立においては、この制度は規定されている。 ― 18― ◇M5(743―134) (

設問2

) 資本金は、大きいほど資金面でみれば有利にみえる。しかし、資本金額によっ ては各種の法律上の適用が異なることも留意点になる。次の中で、最も不適切な ものはどれか。

  1. 会社法では、最終事業年度に係る貸借対照表に計上した資本金が億円以上 の会社は大会社となり、会計監査人を置かなければならない。
  2. 株式会社の設立登記時に納める登録免許税は、資本金の額に1,000分のを 乗じた金額となる。ただし、その金額が15万円に満たないときは、15万円と なる。
  3. 消費税法上、資本金千万円以下の会社については設立年度と翌事業年度の 消費税の納税義務が免除される。
  4. 法人事業税では、各事業年度終了の日において資本金の額が億円を超える 法人は外形標準課税が適用され、所得のほか、付加価値額と資本金等の額に応 じて課税される。 (

設問3

) 会社の設立後には、各種機関への届出が必要になる。次の中で、最も不適切な ものはどれか。

  1. 給与等を支払う法人を設立した日からか月以内に、給与支払事務所等の開 設届出書を税務署に提出しなければならない。
  2. 従業員を使用する法人を設立した日から日以内に労働保険関係成立届、雇 用保険適用事業所設置届を労働基準監督署に提出しなければならない。
  3. 常時従業員を使用する法人を設立した日から日以内に健康保険・厚生年金 保険新規適用届を社会保険事務所に提出しなければならない。
  4. 法人を設立した場合には、設立の日からか月以内に法人設立届出書を税務 署に提出しなければならない。 ― 19― ◇M5(743―135)
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正解: 設問1 設問2 設問3

解答:設問1=ア、設問2=ウ、設問3=イ

〔リード〕個人事業者A氏が株式会社設立を準備中。会社法(平成18年5月施行)による設立方法の変更(設問1)、資本金額と各種法律の適用(設問2)、設立後の各種届出(設問3)について、最も不適切なものを問う。

設問1(最も不適切=ア)

  • ア(○=最も不適切=正解):公告方法は定款の絶対的記載事項ではなくなった点は正しいが、定款に定める公告方法は官報・日刊新聞紙に加えて「電子公告」も選択できる(会社法939条1項)。官報か日刊新聞紙の「いずれか」を定めなければならないとするのは誤りで、最も不適切。これが正解。
  • イ(×=適切):最低資本金制度は廃止されたが、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額は定款の記載事項であり(会社法27条4号)、これを下回ることはできない。適切。
  • ウ(×=適切):類似商号規制は廃止された。ただし同一の所在場所における同一商号の登記は認められない(商業登記法27条)。適切。
  • エ(×=適切):発起設立では払込金保管証明制度が廃止され、残高証明等で足りる。一方、募集設立では払込金保管証明制度が残されている。適切。

設問2(最も不適切=ウ)

  • ア(×=適切):最終事業年度の貸借対照表の資本金が5億円以上(又は負債200億円以上)の会社は大会社となり、会計監査人を置かなければならない(会社法2条6号、328条)。適切。
  • イ(×=適切):株式会社の設立登記の登録免許税は資本金の額に1,000分の7を乗じた額で、これが15万円に満たないときは15万円となる。適切。
  • ウ(○=最も不適切=正解):消費税の新設法人の納税義務免除は、資本金「1,000万円未満」の場合に設立年度(基準期間がない事業年度)について認められるもので、要件・金額の整理が誤り。最も不適切でこれが正解。
  • エ(×=適切):法人事業税の外形標準課税は、各事業年度終了の日における資本金の額が1億円を超える法人に適用され、所得のほか付加価値額と資本金等の額に応じて課税される。適切。

設問3(最も不適切=イ)

  • ア(×=適切):給与等を支払う事務所を開設したときは、開設の日から1か月以内に給与支払事務所等の開設届出書を税務署に提出する。適切。
  • イ(○=最も不適切=正解):雇用保険適用事業所設置届の提出先は公共職業安定所(ハローワーク)であり、労働基準監督署ではない(労働保険関係成立届は労基署)。提出先を一括して「労働基準監督署」とするのは誤りで、最も不適切。これが正解。
  • ウ(×=適切):常時従業員を使用する法人は、設立の日から5日以内に健康保険・厚生年金保険新規適用届を社会保険事務所(現・年金事務所)に提出する。適切。
  • エ(×=適切):法人を設立した場合、設立の日から2か月以内に法人設立届出書を税務署に提出する。適切。

よって 設問1=ア、設問2=ウ、設問3=イ

#会社の種類・設立#株式・機関#計算・配当

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