経営法務 H20年度 第6問

第6問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 特許権も A であるから、特許発明を自由に使用し、収益、処分すること ができる。これを特許権の効力のつとしての B という。そして、このこ とを特許法は第68条で規定している。特許権のもうつの効力は C であ る。この C のなかには差止請求権、損害賠償請求権、侵害物廃棄請求権、 不当利得返還請求権、 D 等がある。 (

設問1

) 文中の空欄A~Dに入るものとして、最も不適切なものはどれか。

  1. A:財産権
  2. B:専用権
  3. C:排他権
  4. D:特許権の取消請求権 (

設問2

) 文中の下線部の説明として、最も不適切なものはどれか。

  1. 差止請求権とは、特許権が侵害され、又は侵害されるおそれのある場合にそ の停止又は予防を請求する権利である。
  2. 侵害物廃棄請求権とは、権利侵害物の廃棄や侵害の行為に供した設備の除却 を請求する権利である。
  3. 損害賠償請求権とは、権利侵害によって生じた損害の賠償を請求する権利で あり、この権利は損害発生の事実を知った日から年で時効により消滅する。
  4. 不当利得返還請求権とは、法律上の原因なくして他人の特許権を利用して利 益を受けた者に対し、その利益の返還を求めることのできる権利であり、故意 過失を要件とはしない。 ― 7― ◇M5(743―123)
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正解: 設問1 設問2

解答:設問1=エ、設問2=ウ

〔リード〕特許権の効力を、自ら発明を実施できる積極的効力(空欄B)と、他人の侵害を排除する消極的効力(空欄C)に分けて整理する文章。空欄の語句と、消極的効力に含まれる各請求権の説明を問う。

設問1(最も不適切=エ)

  • ア(×=適切):A=財産権。特許権は無体財産権であり、自由に使用・収益・処分できる財産権である。適切。
  • イ(×=適切):B=専用権。自ら特許発明を独占的に実施できる積極的効力を専用権(実施権)という。特許法68条の規定に対応し適切。
  • ウ(×=適切):C=排他権。他人の無断実施を排除する消極的効力を排他権といい、その中に差止請求権・損害賠償請求権・侵害物廃棄請求権・不当利得返還請求権等が含まれる。適切。
  • エ(○=最も不適切=正解):D=特許権の取消請求権。排他権(侵害排除のための諸権利)の例として「特許権の取消請求権」を挙げるのは誤り。特許の有効性を争う制度は無効審判等であり、特許権者が侵害排除のために行使する権利ではない。ここに入る適切な例はむしろ信用回復措置請求権(特許法106条)等。最も不適切でこれが正解。

設問2(最も不適切=ウ)

下線部(排他権に含まれる各請求権)の説明として誤りを選ぶ。

  • ア(×=適切):差止請求権は、特許権が侵害され又は侵害されるおそれがある場合に、その停止・予防を請求できる権利(特許法100条1項)。適切。
  • イ(×=適切):侵害物廃棄請求権は、侵害組成物の廃棄や侵害行為に供した設備の除却を請求できる権利(特許法100条2項)。適切。
  • ウ(○=最も不適切=正解):損害賠償請求権の消滅時効の説明が不正確。特許権侵害による損害賠償請求権は不法行為に基づくものであり、その消滅時効は「損害発生の事実を知った日」からではなく「損害及び加害者を知った時から3年」(民法724条前段、H20時点)で進行する。起算点・期間の説明が法令に合致せず、最も不適切でこれが正解。
  • エ(×=適切):不当利得返還請求権は、法律上の原因なく他人の特許を利用して利益を受けた者に利益の返還を求める権利で、故意・過失を要件としない(民法703条以下)。適切。

よって 設問1=エ、設問2=ウ

#特許・実用新案#民法・契約・PL

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