経営法務 H20年度 第5問

第5問

以下は、中小企業診断士であるあなたと、顧客であるD 株式会社の乙社長との 会話である。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。 なお、乙社長には、長男、次男、長女の人の子ども(いずれも嫡出子)がおり、 長男がD 株式会社の専務取締役となっている。乙社長の妻は年前他界してお り、次男及び長女は、ともに他県で会社員として生計を立てている。 乙社長:「私ももう68歳になったので、そろそろ長男に会社を任せようと思ってい るんですよ。ただ、当社の建物が建っている土地は、私の個人名義の土地 ですから、私が死んだ後に、子どもたちで相続争いが起こっても困ると思 いましてね。それで、公正証書で遺言書を作ってもらえばいいという話を 本で読んだものですから、先月、公証人役場に行って、長男にすべての遺 産を相続させるという遺言書を作成してもらってきたんですわ。これでも う安心ですよ。」 あなた:「社長、遺言書があるから、安心とは限りませんよ。民法には、 A という制度がありますから、今回の場合、ご次男とご長女は、 それぞれが遺産の B 分のずつ、その権利を主張することができ ます。そうすると、遺産の内容によっては、ご長男が、その分を金銭で準 備せざるを得なくなる事態もありえますので、注意された方がよろしいと 思いますよ。」 (

設問1

) 会話の中の空欄Aに入る最も適切なものはどれか。

  1. 遺留分
  2. 過剰遺言の取消
  3. 寄与分
  4. 特別受益 (

設問2

) 会話の中の空欄Bに入る最も適切なものはどれか。

  1. ― 6― ◇M5(743―122)
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正解: 設問1 設問2

解答:設問1=ア、設問2=エ

〔リード〕乙社長には長男・次男・長女の3人の嫡出子があり、妻は既に他界。全遺産を長男に相続させる旨の公正証書遺言がある。遺言があっても他の子が一定割合を主張できる制度(空欄A)と、その割合(空欄B)を問う。

設問1(空欄A=ア)

遺言で特定の相続人に全財産を相続させても、一定の相続人には法律上最低限保障される取り分があり、これを侵害された者は侵害額を主張できる。

  • ア(○):遺留分。兄弟姉妹を除く相続人(配偶者・直系卑属・直系尊属)に保障される最低限の取り分の制度(民法1028条等)。本問のように遺言で長男に全部を集中させた場合、次男・長女は遺留分を主張でき、足りない分は長男が金銭等で清算せざるを得なくなる事態もあり得る。これが適切。
  • イ(×):「過剰遺言の取消」という制度は民法に存在しない。
  • ウ(×):寄与分は、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人の取り分を増やす制度で、遺言で害された取り分を主張する制度ではない。文脈に合わない。
  • エ(×):特別受益は、生前贈与等を受けた相続人の取り分を調整する制度であり、ここで問われている最低保障の取り分とは別。

設問2(空欄B=エ)

相続人が直系卑属である子3人のみの場合の遺留分割合を問う。

遺留分の総体的割合は、直系尊属のみが相続人である場合を除き、被相続人の財産の2分の1(民法1028条2号)。これを各相続人の法定相続分で按分する。本問の法定相続分は子3人で各3分の1。したがって、次男・長女の各人の遺留分は、1/2 × 1/3 = 6分の1。よって空欄Bには「6」が入り、次男と長女はそれぞれ遺産の6分の1ずつを主張できる。公式正解はエ。

  • 数値選択肢のうち、6分の1を表すものがエにあたり正しい。他の値(例:1/2、1/5など)はいずれも上記の計算(1/2×1/3)に合致しないため誤り。

よって 設問1=ア、設問2=エ

#会社の種類・設立#株式・機関#民法・契約・PL

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