第8問
近年、多くの産業で、技術革新の進展や顧客ニーズの変化のスピードアップにと もなって、製品のライフサイクルが短縮化する傾向が見られる。これに対応すべく 企業のイノベーション活動は活発化している。そのような戦略対応に関する説明と して、最も不適切なものはどれか。
- ア 一般に、新製品開発のイノベーションが先行して、生産工程のイノベーション がそれに続くことが多いが、時間の経過とともにイノベーション・プロセスは洗 練・精密化され、やがてイノベーションの発生頻度は低下するようになる。
- イ 営業部門が保有する固有の市場情報を製品イノベーションに用いるには、技術 部門と営業部門との密接な連携が重要であるが、それぞれの部門には価値観の違 いや固有の情報処理特性があるので、交流には時間やコストをかけた努力が必要 になる。
- ウ 業界主流の製品を供給している企業は、技術イノベーションに注力しすぎて、 当該製品をしばしば消費者の求める製品の性能から乖離した高性能製品にしてし まうことがある。
- エ 業界で市場シェアの高い有力な製品をもつ企業では、現有市場の顧客ニーズを 重視するあまり、自社のこれまでの技術と異質な新規技術への取り組みが後手に 回り、しばしば次世代技術に乗り遅れることが見られる。
- オ リード・ユーザーは現有製品を自分好みに改良しようとする傾向が強いので、 このユーザーの情報に基づいて開発した製品は、一般ユーザーを対象に行う市場 調査情報に基づいて開発された製品に比べて、改良型製品になりやすい。 ― 9― ◇M3(023―50)
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正解:オ
解答:オ
〔リード〕製品ライフサイクル短縮化への企業のイノベーション活動に関し「最も不適切」な記述を選ぶ。選択肢は順にア・イ・ウ・エ・オ。
- ア(×=適切):製品イノベーションが先行し工程イノベーションが続く(アバナシー=アターバックのA-Uモデル)。やがてプロセスが洗練・精密化し、イノベーションの発生頻度は低下する。妥当。
- イ(×=適切):営業部門の市場情報を製品イノベーションに活かすには技術部門との密接な連携が必要だが、価値観や情報処理特性の違いから交流には時間とコストを要する。妥当。
- ウ(×=適切):主流製品の供給企業は技術イノベーションに注力しすぎ、消費者が求める性能水準を超える過剰高性能化(オーバーシュート)を招くことがある。妥当。
- エ(×=適切):シェアの高い有力製品をもつ企業は既存顧客ニーズを重視するあまり、異質な新規技術への対応が後手に回り次世代技術に乗り遅れる(イノベーターのジレンマ)。妥当。
- オ(○=最も不適切):リード・ユーザーは将来のニーズに先行して直面し、独自の解決策を生み出す傾向があるため、その情報に基づく開発はむしろ革新的・先進的な製品につながりやすい。「改良型製品になりやすい」とする記述は誤り。よって正解。
よって オ。