第2問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 企業は規模を拡大するにつれ、生産の効率化や事業領域の調整、資金繰りや設備 投資などあらゆる事業活動を計画的に進めることが重要になる。長期経営計画はそ のための代表的なものである。しかし、 長期経営計画にはいくつか重要な問題点が 指摘されている。そのため、それを克服すべく戦略的経営計画が広く用いられてい る。さらに、近年では バランス・スコアカードを導入する企業も増えつつある。 (
設問1
) 文中の下線部の長期経営計画の問題点に関する記述として、最も不適切なも のはどれか。
- ア 過去の実績の趨勢や積み上げによる計画部分が多いと、環境の変化から遊離 した計画になりやすく、現状維持的な業務遂行に甘んじがちになる。
- イ 計画と統制のサイクルが緊密に連動して、管理サイクルが短くなると、現場 で創意工夫する余裕がなくなり、ルーティンな仕事ぶりが目に付くようにな る。
- ウ 計画の策定は通常半年以上かかるので、新年度に入ると早くも次期の計画の 策定に取り掛かることになり、計画のローリングは不可能であるばかりか、計 画そのものが絵にかいた餅として見捨てられがちになる。
- エ 本社の企画部門が中心になって策定した計画は、生産や営業の現場の声が反 映されにくいことから、現場の挑戦意欲をそぎ、現場では受容されにくい傾向 がある。 ― 2― ◇M3(023―43) (
設問2
) 文中の下線部のバランス・スコアカードに関する記述として最も適切なもの はどれか。
- ア バランス・スコアカードでは、業績の原動力となるものをパフォーマンス・ ドライバーとよび、これを特定して直接に管理することによって事前段階から の業績管理を可能にしようとする。
- イ バランス・スコアカードには、経営のバランスを図るべく、ビジネス戦略の 視点、財務の視点、顧客の視点、業務の視点、学習・成長の視点のつの視点 が設定されている。
- ウ バランス・スコアカードは、業績評価システムの構築を目指すものであり、 成果主義的な管理制度には不可欠な管理ツールである。
- エ バランス・スコアカードは、多様な目標を総花的に並べることになるだけ に、目標間の横の関係性や因果連鎖を的確に把握することは実際には不可能で あり、管理技法としての限界が指摘されている。
- オ バランス・スコアカードは、日本的な目標管理制度を具体化する計画技法と して1990年代初頭に開発された。 ― 3― ◇M3(023―44)
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正解: 設問1 ウ 設問2 ア
解答:設問1=ウ、設問2=ア
設問1(長期経営計画の問題点として最も不適切なもの)
〔リード〕長期経営計画の問題点として「最も不適切」な記述を選ぶ。正解=問題点として誤っている記述。
- ア(×=問題点として正しい):過去実績の趨勢・積み上げ型計画が多いと環境変化から遊離し、現状維持的になりやすい。長期経営計画の典型的弱点であり妥当。
- イ(×=問題点として正しい):本社企画部門主導の計画は現場の声が反映されず受容されにくい。長期経営計画の問題点として妥当。
- ウ(○=最も不適切):長期経営計画はローリング(毎期見直し更新)によって運用するのが一般的であり、「計画のローリングは不可能」とする記述は誤り。よってこれが「最も不適切」で正解。
- エ(×=問題点として正しい):本社企画部門中心の計画が現場の挑戦意欲をそぐという指摘は長期経営計画の問題点として妥当(イと同趣旨)。
よって ウ。
設問2(バランス・スコアカードに関して最も適切なもの)
〔リード〕BSCに関する正しい記述を選ぶ。
- ア(○):BSCでは業績の原動力をパフォーマンス・ドライバー(先行指標)と呼び、これを特定・管理することで結果が出る前の事前段階から業績を管理しようとする。正しい。
- イ(×):BSCの視点は「財務」「顧客」「業務(内部ビジネスプロセス)」「学習と成長」の4つであり、「ビジネス戦略の視点」を含めた5つとする記述は誤り。
- ウ(×):BSCは戦略の策定・実行を支援する戦略マネジメント・コミュニケーションのツールであり、「成果主義的管理制度に不可欠」とは言えない。誤り。
- エ(×):BSCの特長はまさに4つの視点間の因果連鎖(戦略マップ)を把握する点にある。「因果連鎖の把握は不可能で管理技法として限界」とする記述は誤り。
- オ(×):BSCはキャプランとノートンが1990年代初頭に米国で開発したもので、日本的目標管理を具体化する技法ではない。誤り。
よって ア。