経営法務 H19年度 第13問

第13問

日本法人であるA社は、アメリカ合衆国において特許権Xを取得し、アメリカ合 衆国における事業展開を模索していたところ、特許権Xを実施したいと希望する ニューヨーク州法人であるB 社とライセンス契約締結交渉を行うに至った。交渉を 行う過程において、双方相手方との事業提携において、まず、最初の契約では、A 社がB 社に対し、この契約を締結した日から年間、当該特許を実施する権利を独 占的にライセンスし、実際に事業を行ってみて、両者にとってプラスになる事業提 携となるのであるならば、次年度以降ステップアップしていこうという趣旨の合意 をした。 その結果、次の条項が当初のライセンス契約書に規定されることとなったが、こ の条項の内容として最も適切なものを下記の解答群から選べ。 なお、次の文中の語句について、「Licensor」はA社、「Licensee」はB 社、 「Territory」はアメリカ合衆国内、「Patent」は特許権X、「Licensed Products」はX 特許実施品を意味するものとする。 Article 〇First Refusal Right Licensor shall grant Licensee a first right of refusal to negotiate in good faith an exclusive license for the Licensor’s rights of the Patent one(l)month prior to the end of the term of this Agreement. Such license shall be exclusive in the Territory, shall be on commercially reasonable terms and shall provide Licensee with an exclusive right to manufacture, have manufactured, use, sell, have sold and offer to sell the Licensed Products in the Territory. ― 18― ◇M5(023―121)

  1. この条項により、A社はB 社に対して、アメリカ合衆国内における特許権X の独占的な実施に関し、他者に優先して交渉する権利を付与した。
  2. この条項により、A社はB 社に対して、この契約の終了日のヶ月前まで に、この契約を更新するか否かの選択をする権利を付与した。
  3. この条項により、A社は特許権Xについて、この契約期間中、アメリカ合衆 国において、B 社以外にライセンスすることが禁止された。
  4. この条項により、A社は特許権Xの関連特許について、この契約期間満了日 のヶ月前までは、B 社以外にライセンスすることが禁止された。 ― 19― ◇M5(023―122)
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正解:

解答:ア

〔リード〕英文ライセンス契約の「First Refusal Right(優先交渉権/第一拒否権)」条項の読解。条項は、契約終了の1か月前に、A社(Licensor)が特許権Xの独占的ライセンスについてB社(Licensee)に対し誠実交渉のための優先交渉権を付与するもの。あくまで「他者に優先して交渉できる権利」であって、契約更新の確約や第三者へのライセンス禁止を定めたものではない。

  • ア(○):本条項は、A社がB社に対し、アメリカ合衆国内における特許権Xの独占的実施に関し、他者に優先して(first right of refusal)誠実に交渉する権利を付与したものである。条項の内容として正しい。
  • イ(×):本条項は「優先交渉権」を定めるもので、B社に契約を更新するか否かを一方的に選択する権利(更新オプション)を付与するものではない。誤り。
  • ウ(×):本条項は契約終了時の優先交渉権を定めるにすぎず、「契約期間中、B社以外へのライセンスを禁止する」独占条項そのものではない。誤り。
  • エ(×):本条項は対象を「the Patent(特許権X)」とするものであり、「関連特許」について第三者へのライセンスを禁止するものではない。誤り。

よって

#特許・実用新案#民法・契約・PL

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