第2章 ソフトウェアとOS
この章のねらい コンピュータは「ハードウェア(機械そのもの)」だけでは動きません。そこに命令を与えて働かせる ソフトウェアがあってはじめて役に立ちます。本章では、そのソフトウェアの全体像と、なかでも 主役となる OS(オペレーティングシステム) のはたらきを学びます。ふだん何気なく使っている パソコンやスマホの「裏側で何が起きているか」を、言葉で説明できるようにするのが目標です。
過去問での出方:この分野は経営情報システムの超・頻出テーマです。第2〜5問あたりで ほぼ毎年出ています。とくに「OSの基本機能(○×判定)」「仮想記憶とスワッピング」 「OSS(オープンソース)とライセンス」「仮想化(仮想マシンとコンテナ)」の4つは、 出題パターンがほぼ決まっています。用語の定義と"よくある引っかけ"を押さえれば、得点源にできます。
2-0 この章の地図
ソフトウェアは「土台(基本ソフト)」→「その上で動く道具(応用ソフト)」という層構造になっています。 まずこの階層をつかみ、そのうえで土台の中心である OS を、機能ごとに掘り下げていきます。
2-1 ソフトウェアの分類 … 基本ソフト・応用ソフト・ミドルウェア(層構造)
│
2-2 OSの役割①:仕事の管理 … タスク/プロセス管理・スケジューリング・割り込み
│
2-3 OSの役割②:記憶とファイル … 仮想記憶・ページング・スワッピング/ファイルシステム(★頻出)
│
2-4 OSS・ライセンス・仮想化 … オープンソース/ライセンス/仮想マシンとコンテナ(★頻出)
イメージとしては、次のようなサンドイッチ構造を頭に入れておくと、以降の話がすっきり通ります。
┌─────────────────────────────┐
│ 応用ソフト(アプリ) │ … ワープロ・表計算・ブラウザ など「やりたい仕事」
├─────────────────────────────┤
│ ミドルウェア │ … DB管理・Webサーバ など「橋渡し役」
├─────────────────────────────┤
│ 基本ソフト(OS) │ … ★この章の主役。資源の管理役
├─────────────────────────────┤
│ ハードウェア │ … CPU・メモリ・ディスク(第1章)
└─────────────────────────────┘
2-1 ソフトウェアの分類 ― 基本ソフト・応用ソフト・ミドルウェア
まずは2つに大きく分ける
ソフトウェアは、大きく 基本ソフトウェア(システムソフトウェア) と 応用ソフトウェア(アプリケーションソフトウェア) に分かれます。
| 分類 | ひとことで言うと | 具体例 |
|---|---|---|
| 基本ソフトウェア(システムソフトウェア) | コンピュータの資源(CPU・メモリ・ディスクなど)を効率よく管理する土台 | OS、言語プロセッサ(コンパイラ等)、ユーティリティ |
| 応用ソフトウェア(アプリケーションソフトウェア) | 利用者が目的別に使う道具 | ワープロ、表計算、ブラウザ、会計ソフト |
📝 過去問はこう出る(H24 第4問) 空欄補充で、「各種業務について目的別に利用する〔A〕ソフトウェア」=アプリケーション、 「コンピュータの資源を効率よく利用するための〔B〕ソフトウェア」=システム、 「小さな不具合の修正部分だけを抜き出した〔C〕」=パッチファイル が正解。 アプリ=目的別/システム=資源管理という対比がそのまま問われました。 → H24 第4問
基本ソフトウェアの「中身」=3つの部品
基本ソフトウェアの中心はOSですが、OS自体も次の3つで構成されると整理されます(H29 第5問)。
| 部品 | 役割 |
|---|---|
| 制御プログラム(カーネル) | OSの中核。タスク管理・記憶管理・入出力管理など資源の管理を担う |
| 言語プロセッサ | プログラム言語(人が書いた命令)を、機械が実行できる形に翻訳する |
| ユーティリティ(サービスプログラム) | 圧縮・バックアップなど、補助的なサービスを提供する |
- 言語プロセッサの代表が コンパイラ と インタプリタ です。
- コンパイラ:高水準言語(人が書いたソース)を一括して機械語(オブジェクトプログラム)に翻訳する。
- インタプリタ:1行ずつ解釈しながら実行する。
- ユーティリティは、あくまで補助役です。「制御プログラムや言語プロセッサを"代替"する」と書いた選択肢は誤り(H29 第5問の引っかけ)。
💡 覚え方:コンパイラ=「翻訳をまとめて先に済ませてから実行」/インタプリタ=「その場で通訳しながら実行」。 通訳(インタプリタ)は同時進行、翻訳(コンパイラ)は事前一括、とイメージすると混同しません。
ミドルウェア ― OSとアプリの「あいだ」
ミドルウェアは、その名(middle=中間)のとおり、OSとアプリケーションの中間に位置し、 多くのアプリが共通して使う機能(データベース管理、トランザクション処理など)を肩代わりするソフトウェアです。
⚠️ 混同注意:ミドルウェアは「言語」ではない H24 第5問では「ミドルウェアとは、FORTRAN と C・Java の間に登場したプログラミング言語である」という 誤り選択肢が出ました。ミドルウェアは言語ではなく、OSとアプリの橋渡しをするソフトです。 (同問の正解は「コンパイラとは、高級言語を機械語に翻訳するソフトウェア」)。 → H24 第5問
まぎらわしいソフト用語 ― 一覧で整理
試験では、次のような「よく似た用語」を入れ替えて引っかけてきます。まとめて押さえましょう。
| 用語 | 正しい説明 |
|---|---|
| BIOS(バイオス) | PCの電源投入時に最初に実行され、PCと周辺機器との入出力を制御する。ROMに格納。OSより先に起動する |
| OS | BIOSがハードを初期化した後に起動し、資源全体を管理する |
| デバイスドライバ | プリンタ・マウスなど個々の周辺機器を操作するためのソフト。追加は原則OS再インストール不要 |
| ファームウェア | 機器に組み込まれた制御用ソフト(ハードとソフトの中間的存在) |
| パッチ(patch) | 出荷済みソフトの不具合を、修正部分だけ書き換える差分プログラム |
| プラグイン | 単独では動かず、ブラウザ等のアプリに組み込んで機能を拡張するソフト |
| シェル | 利用者の入力(コマンド)を解釈してOSに伝える対話の窓口 |
📝 過去問はこう出る(H30 第2問) ①電源投入時に最初に実行し入出力を制御=BIOS、②不具合を該当部分だけ書き換える=パッチ、 ③著作権は放棄されないが無償で入手・改良・再配布できる=フリーウェア、 ④アプリに組み込んで機能を拡張=プラグインソフト、の組み合わせ(正解イ)。 ①をOS、②をカーネルやシェルとした選択肢が引っかけでした。 → H30 第2問
⚠️ 起動順序の定番引っかけ:BIOS → OS が正しい順序です。「OSがBIOSに先立って起動する」は誤り (H24 第5問の誤り選択肢)。電源を入れて最初に動くのはBIOS、と覚えましょう。
2-2 OSの役割① ― 仕事(タスク・プロセス)の管理
ここからは、基本ソフトの主役 OS を機能ごとに見ていきます。OSの仕事は、ひとことで言えば 「限られたハードウェア資源(CPU・メモリなど)を、複数の仕事にうまく割り振る交通整理」です。
OSの基本機能は「資源管理」+「橋渡し」+「窓口」
H20 第3問・H22 第3問で問われた、OSの中核機能を整理します。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 資源管理 | メモリ・ファイル・周辺装置(入出力)を管理し、アプリから使えるようにする |
| 入出力制御(デバイス管理) | キーボード入力・プリンタ出力・外部記憶への読み書きを管理する |
| ユーザインタフェース | マウス操作やアイコンのクリック(GUI操作)を受け付け、対応するプログラムを実行する |
📝 過去問はこう出る(H20 第3問/H22 第3問) - H20 第3問:「メモリ・ファイル・周辺装置の管理」(=資源管理)と「マウス・アイコン操作を受け付けて プログラムを実行」(=ユーザインタフェース)がOSの機能として正しい(正解ア)。 - H22 第3問:「キーボード入力・プリンタ出力・外部記憶への読み書きなど入出力デバイスの管理」がOSの 基本機能として正しい(正解ア)。一方、「Webサイト閲覧のID・パスワード管理」はWebサーバ等アプリ側の 機能でありOSの機能ではない、という点が引っかけでした。 → H20 第3問 / H22 第3問
ジョブとタスク ― "仕事の単位"を2つに分ける
OSが仕事を管理するとき、「利用者から見た仕事」と「機械の中で実行される単位」を分けて考えます。 ここは上下(大小)を逆に書く引っかけが定番です。
ジョブ(利用者から見た「ひとまとまりの仕事」)
↓ 細分化
タスク(コンピュータ内部での「実行の単位」)
- ジョブ管理:利用者から見た仕事(ジョブ)の受付・実行順序を管理する。
- タスク管理(=プロセス管理):ジョブを細分化した実行単位(タスク)に、CPUや主記憶などの資源をどう割り付けるかを管理する。
⚠️ 混同注意:ジョブとタスクの上下関係 正しくは「ジョブを細分化したものがタスク」。H29 第5問では、この説明を逆にして 「タスクを細分化したものがジョブ」「ジョブ管理が資源を割り付ける」と書いた選択肢が誤りでした。 大きいのがジョブ、小さいのがタスク、と覚えましょう。 → H29 第5問
💡 用語のゆらぎ:「タスク」と「プロセス」はほぼ同じ意味で使われます(実行中のプログラム1つ=1タスク=1プロセス)。 さらに1つのプロセスの中で細かく並行処理する単位を スレッド と呼びます。
スケジューリング方式 ― CPUを誰に、いつ渡すか
CPUは基本的に「一度に1つの処理」しかできません。そこでOSは、複数のタスクにCPUを順番に割り当てて、 あたかも同時に動いているように見せます。この「順番の決め方」がスケジューリング方式です。
| 方式 | 考え方 |
|---|---|
| 到着順(FCFS) | 先に来たものから順に処理する(いちばん素朴) |
| ラウンドロビン | 各タスクに一定時間(タイムスライス)ずつ順番にCPUを割り当てる。時間が来たら次へ交代 |
| 優先度順 | あらかじめ決めた優先度の高いタスクから処理する |
- パソコンで複数アプリを"同時に"使えるのは、OSがこうしてCPUを高速に切り替えているからです(マルチタスク)。
- 交代のたびに、いま実行中だったタスクの状態を保存し、次のタスクの状態を復元します。この切り替え作業を コンテキストスイッチと呼びます。
割り込み(インタラプト)― 「ちょっと待った!」の仕組み
割り込みとは、OSが通常の処理を実行している最中に、緊急の要求が入ると処理を一時中断し、 そちらを先に処理する仕組みです。例えるなら、作業中に電話が鳴ったら、いったん手を止めて電話に出るようなものです。
- 外部割り込み:入出力の完了通知、タイマ(時間切れ)、電源異常など、CPUの外で起きた要因。
- 内部割り込み:0での除算、桁あふれ、無効な命令など、プログラムの実行そのものが原因で起きる要因。
割り込みがあると、OSは現在の処理状態をいったん退避し、割り込みの原因に応じた処理(割り込みハンドラ)を実行し、 終わったら元の処理に戻ります。入出力の完了を待つあいだに別の処理を進めるといった効率化も、この仕組みが支えています。
2-3 OSの役割② ― 記憶管理(仮想記憶)とファイルシステム ★頻出
この節は、経営情報システムで最頻出の論点のひとつです。とくに仮想記憶とスワッピングは、 シナリオ問題(PCが遅くなった、どう対処?)として繰り返し出ています。仕組みを図でつかみましょう。
主記憶と補助記憶 ― まずは前提のおさらい
- 主記憶(メインメモリ/RAM):CPUが直接読み書きする、高速だが容量が小さく高価な記憶。電源を切ると消える。
- 補助記憶(ハードディスク/SSD):低速だが大容量で安価な記憶。電源を切っても消えない。
プログラムを動かすには主記憶に載せる必要がありますが、主記憶は容量が限られます。 そこで登場するのが仮想記憶です。
仮想記憶 ― 「足りないメモリを補助記憶で補う」魔法
仮想記憶とは、主記憶の容量が足りなくても、補助記憶(ハードディスク)の一部を主記憶の代わりに使って、 大きなプログラムを動かせるようにする仕組みです。利用者から見ると、実際の主記憶より大きなメモリがあるかのように見えます。
【利用者から見た「仮想」のメモリ】=広い
┌───────────────────────────────────┐
│ プログラム全体(大きい) │
└───────────────────────────────────┘
│ OSが必要な部分だけ入れ替えながら…
▼
【実際の主記憶】=狭い 【補助記憶(ディスク)】=広い
┌──────────┐ ⇄ 入替え ⇄ ┌──────────────┐
│ いま使う部分 │ スワッピング │ 今使わない部分を退避 │
└──────────┘ └──────────────┘
ページング と スワッピング ― 入れ替えのやり方
仮想記憶では、プログラムやデータを一定サイズのページという単位に区切り、 「いま必要なページ」だけを主記憶に置き、使わないページは補助記憶へ追い出します。この入れ替えをページングといいます。
- スワッピング:主記憶と補助記憶のあいだで、ページ(内容)を入れ替える動作そのもの。
- 主記憶が不足すると、この入れ替えが頻繁に起こり、遅い補助記憶へのアクセスが増えて全体が遅くなります。
⚠️ スラッシング:入れ替えが多発しすぎて、本来の処理よりページの出し入れに追われ、 極端に性能が落ちる状態をスラッシングといいます。「PCが急に重くなった」典型パターンです。
📝 過去問はこう出る(H23 第2問) 「PCの応答速度が遅い」原因と対策を問う空欄補充。仮想記憶の関連で頻繁にアクセスされるのは 〔A〕ハードディスク(スワップ領域)、調査対象は〔B〕主記憶装置、判明した現象は 〔C〕スワッピング、根本対策は〔D〕主記憶装置の増設(正解ウ)。 「CPUを速いものに交換」「DVDの整理」は的外れ、という点が引っかけでした。遅い原因=主記憶不足→ 対策は主記憶(メモリ)の増設、と一本の線で覚えましょう。 → H23 第2問
⚠️ キャッシュとの混同に注意 H22 第3問では「キャッシュメモリの容量を超えても仮想記憶が…」という誤り選択肢が出ました。 仮想記憶が補うのは主記憶(メインメモリ)の不足であって、キャッシュメモリではありません。 (キャッシュメモリは、CPUと主記憶の速度差を埋める、より高速な小容量メモリ。第1章の論点)。 → H22 第3問
断片化(フラグメンテーション)
ファイルやメモリの書き込み・削除を繰り返すと、空き領域があちこちに細切れになります。これが断片化です。 連続した空きが確保しにくくなり、アクセス効率が落ちます。対策として、細切れを整理し直す デフラグ(最適化) があります(ただしSSDでは原則不要)。
ファイルシステム ― データを「名前」で扱う仕組み
ファイルシステムとは、補助記憶上のデータを、利用者がファイル名やフォルダ(ディレクトリ)で 扱えるように管理する仕組みです。OSはこの仕組みによって、物理的なディスク上の位置を意識させずに、 「どのフォルダのどのファイル」という論理的な形でデータを読み書きできるようにしています。
- ディレクトリ(フォルダ):ファイルを分類・整理するための入れ物。階層(ツリー構造)で管理される。
- 拡張子(.docx / .pdf など):ファイルの種類を表す目印。どのアプリで開くかの判断にも使われる。
- 代表的なファイルシステムに、Windows の NTFS、USBメモリ等で広く使われる FAT/exFAT、Linux の ext4 などがあります。
2-4 OSS(オープンソース)・ソフトウェアライセンス・仮想化 ★頻出
この節も超・頻出です。「OSSとは何か/代表的なライセンス」「仮想マシンとコンテナの違い」は ほぼ毎年どこかで問われます。定義と代表例を正確に押さえましょう。
OSS(オープンソースソフトウェア)とは
OSS(Open Source Software) とは、ソースコード(プログラムの設計図)が無償で公開され、 誰でも改良して使ったり、改良版を再配布したりすることが自由に認められたソフトウェアです。
ここでいちばん大事な注意点は次の2つです。試験は必ずここを突いてきます。
- OSS = 著作権を放棄したもの、ではない。作者は著作権を保持したまま、ライセンス(利用許諾)という形で 「改変・再配布の自由」を認めています。
- OSS = フリーウェア(無料ソフト)とは違う。フリーウェアは無償でもソースコードは非公開が一般的です。
📝 過去問はこう出る(H22 第4問) OSSの正しい説明は「ソースコードも入手可能で、改良して使用したり、改良版を再配布することも自由に行える」(正解ウ)。 「OSSは作者が著作権を放棄したソフト」「OSにはOSSは存在しない(実際はLinux等がある)」は誤り。 → H22 第4問
⚠️ OSS と PDS の違い PDS(パブリックドメインソフト) は、作者が著作権を放棄したソフトです。H30 第5問では、 OSSとPDSを取り違えた選択肢が誤りでした。OSS=著作権あり/PDS=著作権放棄と区別しましょう。
代表的なOSSライセンス
OSSにはさまざまなライセンス(利用条件)があります。試験に出る代表例を押さえます。
| ライセンス | 特徴 |
|---|---|
| GNU GPL | 改変版を再配布するとき、同じGPLで公開する義務がある(=コピーレフト)。伝染的とも呼ばれる |
| BSD License | 制約がゆるく、改変版を非公開(商用)にすることも可能 |
| MIT License | BSDと同様に制約がゆるい、代表的な"寛容な"ライセンス |
💡 コピーレフト:GPLの中心思想。「自由を受け取った者は、その自由を次の人にも渡さねばならない」という考え方で、 改変版にも同じライセンスの継承を求めます。BSD/MITは継承を求めない点が対照的です。
代表的なOSSの具体例 ― 名前で覚える
穴埋め問題では、「この分野の代表的OSSは何か」が問われます。定番の対応を暗記しておきましょう。
| 分野 | 代表的なOSS |
|---|---|
| OS | Linux(Ubuntu などのディストリビューション) |
| Webサーバ | Apache(アパッチ)、nginx |
| データベース(DBMS) | MySQL、PostgreSQL |
| DNSサーバ(ドメイン名とIPアドレスの対応づけ) | BIND(バインド) |
| 統合開発環境(IDE) | Eclipse(エクリプス) |
| オフィスソフト | LibreOffice、OpenOffice |
📝 過去問はこう出る(R03 第5問/H30 第5問) - R03 第5問:ソースコード無償公開のソフト=OSS、MySQLの代表的ライセンス=GNU GPL、 OSSの統合開発環境=Eclipse(正解ウ)。Apacheは"IDEではなくWebサーバ"という点が引っかけ。 - H30 第5問:〔A〕OSS、DNS用の代表的OSS〔C〕BIND、Webサーバ用OSS〔D〕Apache(正解ア)。 Postfixはメールサーバ(MTA)、NATはIPアドレス変換、と別物を混ぜた選択肢が誤り。 → R03 第5問 / H30 第5問
仮想化技術 ― 1台を何台にも、何台かを1台に
仮想化とは、物理的なハードウェアと、その上で動くソフトを切り離し、実際の構成にとらわれずに 資源を柔軟に使えるようにする技術です。クラウドを支える基盤技術で、次の両方向を実現できます。
- 1台の物理サーバを、何台ものサーバがあるかのように見せる(サーバ仮想化)
- 複数の物理サーバを、あたかも1台のように利用する(クラスタ・分散)
📝 過去問はこう出る(R02 第13問) 正解は「1台のコンピュータ上に何台もあるように見せたり、逆に複数を1台のように利用したりできる」。 「サーバ仮想化では物理サーバは1台に限られる」は誤り(複数台をまたげる)。 → R02 第13問
仮想マシン方式(ハイパーバイザ型)と コンテナ方式 ★最重要の対比
仮想化には大きく2つの方式があります。この違いは近年(R03・R07)の最頻出論点です。図で押さえましょう。
【仮想マシン方式(ハイパーバイザ型)】 【コンテナ方式】
┌──────┐ ┌──────┐ ┌──────┐ ┌──────┐
│ アプリ │ │ アプリ │ │ アプリ │ │ アプリ │
├──────┤ ├──────┤ └──────┘ └──────┘
│ゲストOS │ │ゲストOS │ ←重い ┌──────────────┐
├──────┴─┴──────┤ │ コンテナ管理(Docker等)│ ←ゲストOS不要
│ ハイパーバイザ │ ├──────────────┤
├────────────────┤ │ ホストOS(カーネル共有)│
│ 物理マシン │ ├──────────────┤
└────────────────┘ │ 物理マシン │
└──────────────┘
| 観点 | 仮想マシン方式(ハイパーバイザ型) | コンテナ方式 |
|---|---|---|
| ゲストOS | 必要(仮想マシンごとにOSを持つ) | 不要(ホストOSのカーネルを共有) |
| 仕組みの中心 | ハイパーバイザが物理マシン上に仮想マシンを作る | ホストOSのカーネルを共有してアプリを分離 |
| 重さ・起動 | 重い・起動が遅い | 軽い・起動が速い・資源効率がよい |
| 代表例 | VMware、Hyper-V | Docker |
ハイパーバイザ型はさらに2つに分かれます。ここも引っかけになります。
- ベアメタル型(ハイパーバイザ型):物理マシンに直接ハイパーバイザを載せる。ホストOSは不要。
- ホスト型:ホストOSの上に仮想化ソフトを載せ、その上でゲストOSを動かす。
📝 過去問はこう出る(R03 第3問/R07 第2問) - R03 第3問(コンテナ):正解は「ホストOSのカーネルを共有してハードウェア資源を節約し効率的に利用できる」。 「ゲストOSのカーネルを共有」「コンテナにハイパーバイザが必要」は誤り(コンテナはゲストOSもハイパーバイザも不要)。 - R07 第2問(用語の対応):正解は「ハイパーバイザは、単一の物理マシン上に1つ以上の仮想マシンを稼働させる技術」。 「コンテナがゲストOSを稼働させる」「ハイパーバイザがゲストOSなしでアプリを動かす」は、説明の主語がコンテナと入れ替わった誤り。 → R03 第3問 / R07 第2問
💡 一撃で見分けるコツ:「ゲストOSがある=仮想マシン(ハイパーバイザ)」「ゲストOSがない=コンテナ」。 コンテナは"ホストOSのカーネルを間借りする"から軽い、と紐づけて覚えると、主語のすり替えに惑わされません。
スケールアウトとスケールアップ
仮想化・クラウドの性能拡張では、次の2語の区別も問われます(H27 第15問)。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| スケールアウト | サーバの台数を増やして全体の処理能力を上げる |
| スケールアップ | 1台のサーバの性能(CPU・メモリ)を増強して能力を上げる |
📝 過去問はこう出る(H27 第15問) 正解は「物理サーバを追加することで仮想サーバの処理能力を増やすこと=スケールアウト」。 「管理オーバヘッドが増えることをスケールアップという」は用語の誤用。台数増=アウト/性能増=アップ。 → H27 第15問
この章のまとめ(試験直前チェック)
- ☐ ソフトウェアは基本ソフト(システム=資源管理)と応用ソフト(アプリ=目的別)に大別
- ☐ OSの構成=制御プログラム(カーネル)・言語プロセッサ・ユーティリティ(ユーティリティは"代替"でなく"補助")
- ☐ コンパイラ=一括翻訳/インタプリタ=1行ずつ通訳
- ☐ ミドルウェア=OSとアプリの中間のソフト(≠プログラミング言語)
- ☐ 起動順序は BIOS → OS(OSが先ではない)/パッチ=修正部分だけの差分/プラグイン=アプリの機能拡張
- ☐ OSの基本機能=資源管理・入出力制御・ユーザインタフェース(ID/パスワード管理はアプリ側)
- ☐ ジョブを細分化したのがタスク(大=ジョブ/小=タスク。上下逆の引っかけに注意)
- ☐ スケジューリング=ラウンドロビン・優先度順など/割り込み=処理を中断し緊急要求を先に処理
- ☐ 仮想記憶=主記憶の不足を補助記憶で補う(キャッシュではなく主記憶を補う)
- ☐ 主記憶不足でスワッピング多発→遅くなる(スラッシング)→対策は主記憶(メモリ)増設
- ☐ ファイルシステム=データをファイル名・フォルダで扱う仕組み(NTFS・FAT・ext4)
- ☐ OSS=著作権あり・ソース公開・改変/再配布自由(≠著作権放棄、≠フリーウェア。放棄はPDS)
- ☐ ライセンス:GPL=コピーレフト(継承義務)/BSD・MIT=寛容
- ☐ 代表的OSS:Linux/Apache/MySQL/BIND/Eclipse
- ☐ 仮想化:ゲストOSあり=仮想マシン(ハイパーバイザ)/ゲストOSなし=コンテナ(軽量・ホストOSのカーネル共有)
- ☐ スケールアウト=台数増/スケールアップ=性能増
この章に対応する主な過去問
| 年度・問 | 論点 | リンク |
|---|---|---|
| H20 第3問 | OSの機能(資源管理・UI) | 問題 |
| H22 第3問 | OSの機能(入出力制御・仮想記憶の対象) | 問題 |
| H22 第4問 | オープンソースソフトウェア(OSS) | 問題 |
| H23 第2問 | 仮想記憶とスワッピング(速度低下対策) | 問題 |
| H24 第4問 | ソフトウェアの分類とパッチ | 問題 |
| H24 第5問 | ソフトウェアの種類(コンパイラ・ミドルウェア) | 問題 |
| H27 第15問 | 仮想化(スケールアウト/アップ) | 問題 |
| H29 第5問 | OSの基本機能(制御プログラム・ジョブ/タスク) | 問題 |
| H30 第2問 | PCのソフトウェア(BIOS・パッチ・プラグイン) | 問題 |
| H30 第5問 | OSSによるWebサーバ構築(DNS・BIND・Apache) | 問題 |
| R02 第13問 | 仮想化技術(概念・ハイパーバイザ) | 問題 |
| R03 第3問 | コンテナ技術(ホストOSのカーネル共有) | 問題 |
| R03 第5問 | OSSとライセンス(GPL・Eclipse) | 問題 |
| R07 第2問 | 仮想化技術(仮想マシンとコンテナの対応) | 問題 |
次章予告 ▶ 第3章「ファイルとデータベース」 本章の最後で触れた「ファイルシステム」から一歩進み、大量のデータを効率よく管理する データベース(DBMS)を扱います。関係データベース(RDB)の考え方、正規化、SQL、 そして頻出のトランザクション管理(ACID特性)を学びます。