企業経営理論 R08年度 第21問

第21問

産業における事業者の設立率と退出率について、組織エコロジー論における密度依存効果(density dependence)に基づく記述として、最も適切なものはどれか。なお、本問における「密度」とは、当該産業の事業者数を指す。

  1. 密度が高まると委託・外注や設備レンタルなどが発達し、設立率と退出率はともに上昇する。他方、密度が一定水準を超えた後も設立・退出の容易化が続くため、両率は高い水準で推移する。
  2. 密度が高まると社会的正統性が向上・確立し、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えると需要・販路などをめぐる競争圧が増大し、設立率は低下し退出率は上昇する。
  3. 密度が高まると設立手続(許認可手続)の運用や公的支援が整い、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えると監督強化や支援縮小により、設立率は低下し退出率は上昇する。
  4. 密度が高まると同業者間の協働(共同開発・共同販促など)が進み、設立率は上昇し退出率は低下する。他方、密度が一定水準を超えた後も協働が維持されるため、設立率の上昇と退出率の低下が続く。
  5. 密度が高まると認証制度などが整い設立要件が厳格化するため、設立率は低下する。他方、密度が一定水準を超えた後も既存事業者は情報共有や支援を得やすく、退出率も低下する。
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正解:

解答:イ(正統性が先、競争が後で作用)

組織エコロジー論の密度依存モデルでは、産業の事業者数(密度)が低い段階では「正統性」が、密度が高まると「競争」が支配的に働きます。

  • ア(×):密度が高水準を超えても設立・退出が容易なまま高止まりする、という説明は競争効果を無視しており不正確。
  • イ(○):密度が高まると社会的正統性が確立して設立率上昇・退出率低下、密度が一定水準を超えると資源をめぐる競争が激化して設立率低下・退出率上昇。密度依存効果の典型。正しい。
  • ウ(×):許認可運用や公的支援の整備という制度要因が主因とする説明は、密度依存効果(正統性と競争)の趣旨と異なる。
  • エ(×):協働が維持され続けて退出率低下が続く、というのは競争効果を欠き不正確。
  • オ(×):設立要件の厳格化で設立率低下とする説明は、正統性向上による設立率上昇という前半と矛盾する。

よって

#組織理論・コンティンジェンシー

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