第19問
取引コスト理論の観点から見た、製造業における取引コストに関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 取引での資産特殊性が高い場合、生産工程情報の共有と共同改善会議を設けることで機会主義的行動を抑制でき、将来状態を事前に網羅する完備契約が実現できる。
- イ 取引での資産特殊性が高く代替的供給者への切り替えが困難な場合、市場における価格メカニズムによって機会主義的行動を抑制できる。
- ウ 品質不具合の原因が事後的に特定しにくい場合、違約金条項を設けることで製造責任の範囲を明確化でき、履行確保や監視に要するコストの発生を抑制できる。
- エ 品質不具合の原因が事後的に特定しにくく代替供給者への切り替えが容易でない場合、市場取引では責任帰属をめぐる事後交渉や履行確保に要するコストが増大しやすい。
- オ 不確実性が高く製品設計の変更が頻繁に生じる場合でも、市場における価格メカニズムによって柔軟な適応が可能であるため、仕様変更に伴う再交渉や調整のコストは増大しにくい。
▼ 解答・解説を見る
正解:エ
解答:エ(資産特殊性・不確実性が高いと市場取引コストが増大)
ウィリアムソンの取引コスト理論では、資産特殊性・不確実性・取引頻度が高いほど、市場取引での機会主義的行動や交渉・監視のコストが増大し、内部化(組織化)が有利になります。人間は限定合理性ゆえに完備契約は結べません。
- ア(×):限定合理性のため、将来を事前に網羅する「完備契約」は実現できない。
- イ(×):資産特殊性が高く切替困難な状況(ロックイン)では、価格メカニズムだけで機会主義を抑制できない。
- ウ(×):原因が事後に特定しにくい状況では、違約金条項だけで責任範囲を明確化するのは難しく、監視コストも残る。
- エ(○):品質不具合の原因が事後に特定しにくく供給者の切替も困難なら、市場取引では責任帰属をめぐる事後交渉・履行確保コストが増大しやすい。正しい。
- オ(×):不確実性が高く設計変更が頻繁なら、市場取引では再交渉・調整コストがむしろ増大する。
よって エ。