第8問
サラス・サラスバシー(S. D. Sarasvathy)は、経験豊富な起業家の経験より抽出 された実践的なロジックから構成されるエフェクチュエーション(effectuation)と いう概念を生み出した。エフェクチュエーションは、「手段(means)」からスタート し、「これらの手段を使って、何ができるだろうか」と問いかけることから始める。 その点で、「結果(effect)」からスタートし、「これを達成するためには、何をすれば よいか」を問うコーゼーション(causation)と対比されるものである。 このエフェクチュエーションを構成する5 つの行動原則に関する記述として、最 も不適切なものはどれか。
- ア 許容可能な損失(affordable loss)の原則とは、創業後に事業を継続するかどう かを判断する際に、事前に設定した許容可能な損失の上限に達したという理由 で、事業を途中でやめないということである。
- イ クレイジーキルト(crazy-quilt)の原則とは、起業活動に必要な自分以外との関 係性をあらかじめ作成した設計図に基づいてつくるのではなく、起業後に自分を 取り巻く関与者と交渉しながら関係性を構築していくことである。
- ウ 手中の鳥(bird in hand)の原則とは、もともと自分が持っているリソースを 使って行うことである。具体的には自分が何者であるか、自分は誰を知っている か、そして自分は何を知っているのかを認識して、それらを活用することから始 めることである。
- エ 飛行機の中のパイロット(pilot in the plane)の原則とは、予測できないことを 避けようとするのではなく、予測できないことのうち自分自身でコントロール可 能な側面に焦点を合わせ、自らの力と才覚を頼って生き残りを図ることである。
- オ レモネード(lemonade)の原則とは、予測できないことを前向きに捉え、不確 実性を梃 て 子 こ のように利用しようとすることである。
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正解:ア
解答:ア
サラスバシーのエフェクチュエーション5原則。「最も不適切」型なので、原則の説明が誤っている記述が正解。
- ア(○=最も不適切):許容可能な損失の原則は、あらかじめ「ここまでなら失っても許容できる」上限を設定し、その範囲内で行動する考え方。本来は損失上限に達したら撤退・見直しを判断する。「上限に達したという理由で事業を途中でやめない」という記述は原則を逆に説明しており不適切。
- イ(×):クレイジーキルトの原則の説明として正しい。関与者と交渉しながらパートナーシップを構築していく。
- ウ(×):手中の鳥の原則の説明として正しい。自分が誰で・誰を知り・何を知っているかという既存の手段から始める。
- エ(×):飛行機の中のパイロットの原則の説明として正しい。コントロール可能な側面に集中し未来を作り出す。
- オ(×):レモネードの原則の説明として正しい。予期せぬ事態を逆手にとって活用する。
よって ア。