経営法務 R02年度 第13問

第13問

以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、E株式会社の代表取締役甲氏と の間で行われたものである。 会話の中の空欄AとBに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の 解答群から選べ。 あなた:「御社の紙製ストローの販売が好調のようですね。」 甲 氏:「おかげさまで、タピオカミルクティー用の紙製ストローが、プラスチッ ク製ストローの代替製品として好評です。しかし、好事魔多しです。おと とい、同業者であるF社からこの紙製ストローが同社の最近登録された特 許権を侵害するとの警告書が来ました。どうしたらよいでしょうか。」 あなた:「一般的には、①特許発明の技術的範囲に属していないと反論する、②相 手の特許権に対抗する正当権限を主張する、③相手の特許権自体を無効に する、④対抗することが難しい場合はライセンス交渉や設計変更を考え る、といった選択肢があります。」 甲 氏:「正当権限とはどのようなものですか。」 あなた:「最も一般的なのは先使用権です。この権利を主張するためには、 A の際、現に、日本国内においてその発明の実施である事業をし ている者又はその事業の準備をしている者である必要があるので、しっか りした証拠を集めないといけません。」 甲 氏:「当社は、ずいぶん前から、大口顧客に試作品を提供して意見を聞いてい ましたから、証拠はそろえられると思います。ああ、そうだ、このように 当社の試作品が早いのですから、相手方の特許発明はすでに新規性がな かったとして特許権を無効とすることはできませんか。」 あなた:「その顧客が店頭で試験的に使用していた可能性もありますね。いずれに しろ、新規性を喪失しているかどうかは、御社試作品の実施の事実が B かどうかが問題となります。」 甲 氏:「なるほど。」 あなた:「いずれにしろ、警告書に対する回答書を出さなければならないでしょう。 13 よろしければ、特許紛争に強い弁護士を紹介します。」 甲 氏:「ぜひ、よろしくお願いします。」

  1. A:特許の出願 B:公然の実施に当たる
  2. A:特許の出願 B:多数に対する実施に当たる
  3. A:特許の登録 B:公然の実施に当たる
  4. A:特許の登録 B:多数に対する実施に当たる
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正解:

解答:ア

特許の先使用権と新規性喪失をめぐる問題。

  • 空欄A(先使用権の基準時):先使用権は、特許出願に係る発明の内容を知らないで自らした発明等で、「特許出願の際」現に日本国内でその実施である事業をしている者又はその準備をしている者に認められる(特許法79条)。基準時は登録ではなく「特許の出願」の際。
  • 空欄B(新規性喪失の要件):新規性が失われるのは、出願前に「公然知られた」「公然実施をされた」発明等に該当する場合(29条1項)。試作品の実施の事実が「公然の実施に当たる」かどうかが問題となる。「多数に対する実施」は新規性喪失の要件ではない。
  • ア(○):A=特許の出願、B=公然の実施に当たる、で正しい。
  • イ(×):Bの「多数に対する実施」が要件として誤り。
  • ウ(×):Aの「特許の登録」が誤り。
  • エ(×):A・Bともに誤り。

よって

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