第9問
意匠法に規定される秘密意匠制度は、意匠登録出願人が、意匠権の設定の登録の 日から年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求する ことができる制度である 意匠法第14 条。これは、先願により意匠権を確保して おく必要があるものの、直ちに当該意匠の実施を行わない場合に意匠公報が発行さ れることによる第三者の模倣を防止しようとする趣旨によるものである。 このような秘密意匠制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 甲は、出願公開された特許出願を意匠登録出願に変更した。この場合、当該変 更出願に係る意匠はすでに新規性を失っている。したがって、これを秘密にすべ き利益を失っているため、甲は、その意匠登録出願について秘密にすることを請 求することができない。
- イ 乙は、本意匠A とそれに類似する関連意匠B を同日に意匠登録出願した。こ の意匠登録出願の際、乙は、A のみを秘密にすることを請求していた。この場 合、その期間が経過するまで、B についても秘密にすべき利益を保護する必要が 生じる。したがって、B に係る意匠登録出願の願書に添付した図面の内容が意匠 公報に掲載されることはない。
- ウ 丙は、意匠登録出願前に意匠が記載されたカタログを重要顧客に頒布した場合 であっても、その意匠を秘密にすることを請求することができる。
- エ 丁は、パリ条約の同盟国において意匠登録出願をした。その意匠が公報に掲載 された後に、丁が日本国においてこの意匠登録出願に基づきパリ条約による優先 権主張を伴う意匠登録出願をするときは、既に当該意匠を秘密にすべき利益を失 っている。したがって、丁は、その意匠を秘密にすることを請求することができ ない。 DKJC-1E
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正解:ウ
解答:ウ
秘密意匠制度(意匠法14条)の趣旨と運用に関する問題。秘密意匠は新規性等の登録要件とは別の制度であり、公知になっているかどうかと秘密請求の可否は直接連動しない点がポイント。
- ア(×):出願変更(特許出願→意匠登録出願)に係る意匠が新規性を失っていることと、秘密意匠の請求ができるかどうかは別問題である。新規性を失っていても秘密意匠の請求自体は手続的に可能であり、「請求することができない」とする因果関係は誤り。
- イ(×):本意匠Aについてのみ秘密請求し、関連意匠Bについて請求していない場合、Bは秘密の対象とならない。「Bについても図面が意匠公報に掲載されることはない」とする記述は誤り。秘密請求は出願(意匠)ごとに行うもの。
- ウ(○):秘密意匠の請求は、その意匠が出願前に公知(カタログ頒布等)であったかどうかにかかわらず行うことができる。新規性喪失と秘密請求の可否は別である。手続上、出願人は秘密にすることを請求できる。正しい。
- エ(×):パリ条約による優先権主張を伴う出願において、第一国で公報掲載済みであっても、日本での秘密意匠の請求が一律にできなくなるわけではない。「秘密にすべき利益を失っているから請求できない」とする論理は誤り。
よって ウ。