第11問
次のうち、その法的主張が認められるためにはその主張者が無過失であることが 必要な場合として、最も適切なものはどれか。
- ア 相手方と通謀の上、不動産を仮装譲渡したところ、仮装の事実を知らずに相手 方から当該不動産の転売を受けた第三者が当該不動産の所有権を主張する場合
- イ 第三者から強迫行為を受けて契約させられた者に対して、強迫の事実を知らな かった契約の相手方が契約の有効性を主張する場合
- ウ 法律行為の要素の錯誤を理由とする意思表示の無効を表意者が主張する場合
- エ 無権代理人(成人)による契約と知らずに契約した相手方が、無権代理人に対し て当該契約の履行責任を主張する場合
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正解:エ
解答:エ
〔リード〕民法上、保護を受けるために「善意」で足りるか、「善意かつ無過失」まで必要かを問う問題。主張者が無過失であることまで要求される場面を選ぶ。
- ア(×):通謀虚偽表示の第三者保護(民法94条2項)は、第三者が「善意」であれば足り、無過失までは要求されない(判例・通説)。
- イ(×):第三者の強迫を受けて契約した場合、強迫は相手方の善意・悪意を問わず取り消し得る。相手方が契約の有効を主張するには善意であることが要件となるのは「詐欺」(96条2項)であり、強迫では第三者強迫でも取消しが認められるため、無過失要件が問題となる構図とは異なる。本問の趣旨では正解ではない。
- ウ(×):要素の錯誤による無効(H26当時の民法95条)を表意者自身が主張する場面では、表意者に重大な過失がないことが要件だが、これは相手方等の「無過失」の主張ではなく、無過失を積極要件とする本問の典型例ではない。
- エ(○):無権代理人の責任追及(民法117条)において、相手方が無権代理人に履行責任を主張するには、相手方が無権代理であることにつき善意かつ「無過失」であることが必要。無過失が要件となる典型例であり、正しい。
よって エ。