第8問
政府は一時的な減税を行うのと同時に、公債を発行するものとする。家計が生涯 所得に依存して消費を決定し、また子孫世代のことを考慮に入れる場合、このよう な公債発行が家計行動に与える影響として、最も適切なものはどれか。
- ア 家計に流動性制約がある場合、現時点の貯蓄を増加させる。
- イ 家計は公債が償還される将来を見通して行動するため、現時点の消費を増加さ せる。
- ウ 公債償還時に借換債の発行が行われ続けることが予想されると、現時点の貯蓄 を減らす。
- エ 公債の償還が自らの生存中にないことが分かっている場合、現時点の消費を減 らす。 DKJC-1A
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正解:エ
解答:エ
〔家計が生涯所得(恒常所得)に基づいて消費を決め、かつ子孫世代のことも考慮する(遺産動機がある)場合は、バローの「公債の中立命題(リカード=バローの等価定理)」が成立する。一時的減税+公債発行は、将来の増税(償還財源)を意味するため、合理的な家計は減税分を消費に回さず貯蓄し、将来(自分または子孫)の納税に備える。よって減税は現在の消費を増やさない。〕
- ア(×):流動性制約がある場合は中立命題が崩れ、減税で手元資金が増えると消費を増やすのが一般的。「貯蓄を増加させる」は中立命題が成立するケースの帰結であり、流動性制約があるという前提と整合しない。
- イ(×):中立命題のもとでは、家計は将来の増税を見越して減税分を貯蓄するため、現時点の消費は増加させない。
- ウ(×):借換債で償還が先送りされても、いずれ将来世代が負担する点を遺産動機で考慮するため、貯蓄を減らすことにはならない(むしろ備えとして貯蓄する)。
- エ(○):公債償還が自らの生存中にない(将来世代に及ぶ)場合でも、子孫世代を考慮する家計は遺産として残すべく貯蓄を増やす=現時点の消費を減らす。遺産動機を持つバロー型中立命題の帰結として適切。
よって エ。