経営法務 H24年度 第19問

第19問

新たな取引先と商品の売買取引を開始することに関連した下記の設問に答えよ。 I

設問1

L 新たに取引を開始するにあたり、商業登記簿謄本I登記事項証明書Lで取引先の 内容を把握することが重要である。これによって把握できるものに関する記述と して、最も不適切なものはどれか。

  1. 会社の資本金の額を閲覧し、資本金の大きさを確かめる。
  2. 会社の本店及び支店の所在場所を閲覧し、実際の取引先の住所と一致してい るかを確かめる。
  3. 会社の目的を閲覧し、実際の取引を行う事業が含まれているかを確かめる。
  4. 会社の役員を閲覧し、代表取締役の氏名および学歴を確かめる。 I

設問2

L 取引先I買主Lと新規に取引を開始するに先立ち、債権の保全・回収のための特 約を定めた取引基本契約書を締結することが望まれる。この契約書の特約条項の うち、「期限の利益の喪失」条項を盛り込むことによって期待される効果に関する 記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 取引先が代金を完済するまで納入品の所有権を売主のものとし、いつでも納 入品の返還を要求できる。
  2. 取引先に信用不安や経営危機などの一定の事由が発生した場合に、一方的に 取引を終了させることができる。
  3. 取引先に代金の支払遅延などの一定の事由が発生した場合に、支払期日前で も支払期日の到来していないすべての売掛金について直ちに支払いを請求する ことができる。
  4. 取引先の債権回収に不安が生じた場合に、納入品の引き渡し数量を制限した りストップすることができる。 DKJC-1E
▼ 解答・解説を見る

正解: 設問1 設問2

解答:設問1=エ、設問2=ウ

設問1(商業登記簿謄本で把握できるもの/最も不適切)

〔リード〕「最も不適切なもの」=登記事項証明書では把握できない事項を選ぶ。商業登記簿には、商号、本店・支店所在地、目的、資本金の額、役員(取締役・代表取締役等)の氏名などが記載される。一方、役員個人の「学歴」は登記事項ではなく、登記簿謄本では確認できない。

  • ア(○:適切):資本金の額は登記事項であり、登記簿謄本で資本金の大きさを確認できる。
  • イ(○:適切):本店・支店の所在場所は登記事項であり、実際の取引先住所との一致を確認できる。
  • ウ(○:適切):会社の目的(事業内容)は登記事項であり、行おうとする取引が含まれるかを確認できる。
  • エ(×:最も不適切=正解):役員(代表取締役)の氏名は登記事項だが、「学歴」は登記事項ではなく登記簿謄本では確認できない。最も不適切。

設問2(「期限の利益の喪失」条項の効果)

〔リード〕「期限の利益の喪失」条項は、債務者に支払遅延・信用不安等の一定事由が生じた場合に、本来の弁済期が到来していない債務についても期限の利益を失わせ、直ちに全額の弁済を請求できるようにする特約。所有権留保(ア)・契約解除(イ)・出荷停止(エ)はそれぞれ別の特約の効果である点で区別する。

  • ア(×):代金完済まで所有権を売主に留保し返還を求めるのは「所有権留保条項」の効果。期限の利益喪失条項の効果ではない。
  • イ(×):一定事由発生時に一方的に取引を終了させるのは「解除(契約解除)条項」の効果であり、本条項の効果ではない。
  • ウ(○):支払遅延等の一定事由が生じた場合に、支払期日前でも期日未到来のすべての売掛金について直ちに支払を請求できる、というのが期限の利益喪失条項の効果。最も適切。
  • エ(×):債権回収に不安が生じた場合に出荷を制限・停止するのは「出荷停止(不安の抗弁等)条項」の効果であり、本条項の効果ではない。

よって 設問1=エ、設問2=ウ

#株式・機関#計算・配当#民法・契約・PL

← 経営法務の一覧へ戻る