経済学・経済政策 H23年度 第10問

第10問

下図は、労働市場の開放に伴う国間の労働移動の効果を示したものである。 なお、生産要素は労働と資本であり、労働移動が生じた場合でも労働者の国籍は変 わらないものとする。ここでMPL は労働の限界生産物を、W は労働単位あたり の賃金率を表している。当初、国の労働量はOC、国のそれはOC であり、 国の賃金率はW、国のそれはW である。さらに、国の労働の限界生産物 はMPL、国のそれはMPL である。 この図の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。 a 賃金格差からCD の労働量が国から国に移動し、国間の賃金は均等化 (W* =W* )する。 b 労働移動の結果、国では資本のレンタル所得が三角形AEW* に減少し、 国では資本のレンタル所得が三角形BEW* に増加する。 c 労働移動の結果、国の労働者の賃金所得が増加し、反対に国の労働者の賃 金所得が減少する。 d 労働移動の結果、世界全体で三角形EFG の所得が増加し、そのうち、三角形 EFH は国の国民所得の純増に、三角形EGH は国の国民所得の純増に等しい。

  1. aとc
  2. aとd
  3. bとc
  4. bとd ― 9― ◇M1(688―11)
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正解:

解答:ウ

〔リード〕国際労働移動の余剰分析。賃金(=労働の限界生産物MPL)の高い国へ、低い国から労働が移動し、両国の賃金が均等化(W*)する。移動により世界全体では労働がより生産性の高い用途に配分され、効率が改善する(三角形EFGの利益)。一方、各国内では賃金所得と資本のレンタル所得(地代)の分配が変化する。

  • a(×):労働は賃金(MPL)の低い国から高い国へ移動して両国の賃金が均等化する。本記述は移動方向や移動量の対応(CD分)が図の前提と整合せず、移動方向の取り違え等により不適切とされる。
  • b(○):労働移動により、労働が流出した国では労働量減少で資本のレンタル所得(MPL曲線と賃金線で囲む三角形)が縮小し、労働が流入した国では労働量増加でレンタル所得が拡大する。三角形AEW*への減少、三角形BEW*への増加という記述は整合する。正しい。
  • c(○):労働が流入した国では労働供給増で賃金が下がり、もともとその国にいた労働者の賃金所得は減少する。逆に労働が流出した国では残った労働者の賃金が上がり賃金所得が増加する。各国の自国労働者の賃金所得の増減を正しく述べている。正しい。
  • d(×):労働移動による世界全体の所得増(三角形EFG)の各国への帰属(純増分の分割)に関する記述で、三角形EFH・EGHの帰属の対応が図と整合せず不適切。

正しい組み合わせは bとc。よって

#GDP・国民経済計算#生産者理論・費用

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