第8問
下図は、開放経済下におけるマクロ経済モデルを描いたものである。 いま、小国モデル、完全資本移動、変動為替レート制、物価の硬直性、為替レー トの静学的な予想を仮定する。下図では、これらの前提に基づき、生産物市場の均 衡を示すIS 曲線、貨幣市場の均衡を示すLM 曲線、自国利子率(r)と外国利子率 (r*)の均等化を示すBP 曲線が表されている。 政府支出の増加に伴う効果の説明として最も適切なものを下記の解答群から選 べ。
- ア 政府支出の増加は、IS 曲線を右方にシフトさせ、所得の拡大を生じさせる。
- イ 政府支出の増加は、IS 曲線を右方にシフトさせ、金利差に伴う大規模な資 本の流出を引き起こし円高を招く。
- ウ 政府支出の増加は、クラウディング・アウトを通じて民間投資支出の減少を 引き起こす。
- エ 政府支出の増加は、それを完全に相殺する経常収支の悪化を引き起こし、所 得に影響を与えない。 ― 7― ◇M1(688―9)
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正解:エ
解答:エ
〔リード〕マンデル=フレミング・モデル。小国・完全資本移動・変動為替レート制の下では、財政政策は無効、金融政策は有効になる。図のBP曲線は水平(r=r*)。財政拡張の波及を順に追う。 政府支出増加 → IS右シフト → 国内利子率がr*より上昇 → 資本流入 → 自国通貨高(円高) → 純輸出(経常収支)の悪化 → ISが元の位置まで左に戻る → 所得は不変。
- ア(×):IS右シフトは正しいが、最終的には円高による純輸出減でISが戻り、所得は拡大しない。
- イ(×):政府支出増加で国内利子率がr*を上回ると、資本は「流入」する(流出ではない)。円高を招く点は結果的に正しいが、原因を「資本の流出」とする点が誤り。
- ウ(×):クラウディング・アウト(利子率上昇による民間投資の締め出し)は閉鎖経済または資本移動が不完全な場合の説明。完全資本移動・変動相場では利子率はr*に固定され、所得不変の原因は為替(純輸出減)であって民間投資の減少ではない。
- エ(○):政府支出増加は、それを完全に相殺する経常収支(純輸出)の悪化を引き起こし、所得に影響を与えない。変動相場下の財政政策無効を正しく表す。
よって エ。