第2問
下図は、日本の名目GDP 成長率と実質GDP 成長率を示したものである。この 図から読み取れることおよび経済状況の説明として最も適切なものはどれか。 内閣府『経済財政白書』 (2010年版)
- ア 1960年代の高度経済成長期には、持続的な物価の上昇が見られ、これは貨幣 価値を上昇させる効果を持つ。
- イ 1970年代前半には、第次オイルショックに伴い、物価の上昇と不況が発生 し、スタグフレーションの現象に陥った。
- ウ 1980年代後半には、円高不況、バブル経済、アジア通貨危機を経験し、その 後、長期の景気低迷を迎えることとなった。
- エ 2000年代は、持続的な物価の下落が見られ、これは企業の実質債務の増加や 実質利子率の上昇を生じさせる効果を持つ。
- オ 「名目GDP 成長率=実質GDP 成長率-GDP デフレータ変化率」という関係 が成立し、名目GDP 成長率と実質GDP 成長率の差は物価の変化を表している。 ― 2― ◇M1(688―4)
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正解:エ
解答:エ
〔リード〕名目GDP成長率と実質GDP成長率の差はGDPデフレータ変化率(物価変動)にほぼ等しく、名目>実質なら物価上昇、名目<実質なら物価下落(デフレ)を意味する。各記述を経済史・経済理論の両面から判定する。
- ア(×):高度成長期に物価上昇が見られた点は正しいが、物価上昇は貨幣価値を「上昇」させるのではなく「下落」させる。インフレは貨幣の購買力を低下させる。
- イ(×):第1次オイルショック(物価上昇と不況=スタグフレーション)が起きたのは1973年であり「1970年代前半」は正しいが、設問本文では「第二次オイルショック」と記しており時期・名称が整合しない。スタグフレーションを引き起こした1973年のものは第1次であり、記述が不正確。
- ウ(×):アジア通貨危機は1997年(1990年代後半)の出来事であり、「1980年代後半」に経験した事象とするのは誤り。円高不況(1980年代半ば)やバブル経済(1980年代後半)とは時期が異なる。
- エ(○):2000年代は持続的な物価下落(デフレ)が見られた。デフレは実質債務(名目債務÷物価)を増加させ、また名目利子率が下限でも物価下落により実質利子率(名目利子率-期待インフレ率)を上昇させる。記述は正しい。
- オ(×):正しい関係は「名目GDP成長率 ≒ 実質GDP成長率 + GDPデフレータ変化率」であり、本記述は符号が逆(-になっている)で誤り。
よって エ。