企業経営理論 H23年度 第18問

第18問

企業経営者が、損失を隠す粉飾決算を行い、投資を呼び込むために株価をつり上 げ、そのことが公表されて倒産するに至るという事件が起きることがある。このよ うな場合、投資家、顧客、従業員、地域社会の他、利害関係者に大きな損害を与え る可能性があるとともに、資本主義経済システムへの信頼そのものを失わせてしま う可能性がある。 有効なコーポレートガバナンスの仕組みに関する記述として最も適切なものはど れか。

  1. 株式市場に上場し、より多くの株主に株式を分散して保有してもらい、多様な 株主による株主総会でのチェック機構を強化する。
  2. 企業の会計基準を時価会計にあらため、外部監査会社による積極型会計 (aggressive accounting)を法的に義務づけ積極的に情報の開示を促進させる。
  3. 内部統制と内部統制報告書の作成を促進し、情報の開示や説明責任の明確化な どを図る必要がある。
  4. 万一こうした損害が発生した場合、その被害を最小限に抑えるために、一定以 上の資産をデリバティブなどのリスク管理資産として留保しておくよう義務づけ る。 ― 19― ◇M3(688―64)
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正解:

解答:ウ

〔リード〕粉飾決算などの不正を防ぐ「有効なコーポレートガバナンスの仕組み」として最も適切なものを選ぶ。

  • ア(×):株式を広く分散させると、個々の株主の持株比率が小さくなり監視のインセンティブが低下する(「フリーライダー問題」「株主総会の形骸化」)。分散は監視機構の強化にむしろ逆行し、有効なガバナンスとはいえない。
  • イ(×):「積極型会計(aggressive accounting)」は、収益を早期計上し費用を先送りするなど、利益を過大に見せる方向の会計処理で、粉飾につながりやすい。これを義務づけるのはガバナンス上不適切。
  • ウ(○):内部統制システムの整備と内部統制報告書の作成を促進し、情報開示と説明責任(アカウンタビリティ)を明確化することは、不正を抑止し投資家の信頼を確保する有効なガバナンスの仕組み。金融商品取引法(J-SOX)の趣旨にも合致する。
  • エ(×):デリバティブ等をリスク管理資産として一定以上留保させることは、損害発生後の被害緩和策にすぎず、不正発生そのものを防ぐガバナンスの仕組みではない。デリバティブ保有はかえって新たなリスクを招く。

よって

#企業統治・CSR

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