経営法務 H23年度 第12問

第12問

ウェブシステムの開発・販売、保守運用等の事業を営んでいるX 社は、自社で 開発したインターネット受発注システム(以下「本件システム」という。)を、企業向 けウェブシステムの販売、コンサルティング等の事業を営んでいるY 社に販売し て納品した。Y 社は、X 社から販売・納品を受けた本件システムを自社のエンド ユーザーである顧客向けに転売・納品すると同時に、転売・納品した本件システム の保守運用業務をX 社に委託した。 X 社からY 社に販売した本件システムの販売代金については、発注時に分の 、X 社による納品・Y 社の検収時に分の、納品・検収からか月後に残り 分のの金額を支払うとの約定であったところ、Y 社は、発注時、納品・検収時の 分割金はそれぞれ支払ったものの、残り分のの金額については支払期限が経過 しても支払おうとしない。他方、本件システムの保守運用業務の業務委託料につい ては、客先での本件システムの稼働開始からか月後に回目の業務委託料を支払 うものとのX 社・Y 社間の約定があり、いまだ支払期限は到来していない。 この事例において考えられるX 社のY 社に対する債権回収の手段・方法に関す る記述として、最も不適切なものはどれか。 ― 12― ◇M5(688―119)

  1. X 社がY 社に本件システムを販売した際に、Y 社代表者A が個人として販売 代金の支払について連帯保証する旨X 社代表者に対して発言し、X 社代表者が 口頭でA の個人保証を承諾していた場合、X 社は、A 個人に対して保証債務の 履行として残代金の支払を請求することができる。
  2. X 社がY 社に本件システムを販売した際に、Y 社代表者A が個人としても販 売代金の支払について保証する旨の電子メールをX 社代表者に送信し、X 社代 表者がA の個人保証を承諾する旨の電子メールをA に返信していた場合、X 社 は、Y 社に対して本件システムの販売残代金の支払を求めることなく、A 個人に 対して保証債務の履行を請求できる。
  3. Y 社が取引先企業に対する売掛債権を有している場合、X 社のY 社に対する 本件システムの販売残代金債権を保全する方法として、Y 社が有する売掛債権に 対する仮差押命令の申立てが考えられる。
  4. Y 社の資産状況が著しく悪化した状況にある場合には、いまだ支払期限の到来 していない本件システムの保守運用業務の業務委託料の支払が得られない危険が あることを理由として、X 社が、Y 社顧客の下で稼働中の本件システムに関する 保守運用業務を一方的に停止することが許される場合もある。 ― 13― ◇M5(688―120)
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正解:

解答:ア

〔リード〕「最も不適切なもの」を選ぶ。債権回収の手段(保証・仮差押え・不安の抗弁)。正解=誤っている記述。

  • ア(×・最も不適切):保証契約は書面(または電磁的記録)でしなければ効力を生じない(民法446条2項)。代表者Aの口頭の連帯保証発言とX社代表者の口頭承諾だけでは保証契約は無効であり、A個人に保証債務の履行を請求することはできない。「請求できる」とする本記述は誤りで、これが正解。
  • イ(○):保証する旨の電子メールと承諾の返信メールがあれば、電磁的記録による保証として書面要件を満たす(民法446条3項)。かつ「連帯保証」であれば催告・検索の抗弁がなく、主たる債務者Y社への請求を経ずにA個人へ履行請求できる。記述は適切。
  • ウ(○):金銭債権の保全のため、Y社が第三者に有する売掛債権に対し仮差押命令の申立てをすることができる(民事保全法20条)。記述は適切。
  • エ(○):双務契約で先に履行すべき義務を負う当事者でも、相手方の資産状況が著しく悪化し反対給付を受けられないおそれが生じた場合には、自己の履行を一時停止できる場合がある(いわゆる不安の抗弁権)。保守運用業務の一方的停止が許される場合もあり得るとの記述は適切。

よって最も不適切なものは

#民法・契約・PL

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