経営法務 H23年度 第11問

第11問

平成21年月日、国際物品売買契約に関する国際連合条約(通称:ウィーン売 買条約、CISG)が日本について発効した。この条約は、国際物品売買契約に関し、 契約の成立及び当事者(売主・買主)の権利義務を規定するものであり、主に、異な る締約国に営業所を有する企業間の物品売買契約に適用されるとされている。 この条約と日本の民法・商法その他の契約に関する規定との共通点・相違点につ いての記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 隔地者間の契約について、日本の民法では、承諾の意思表示が発信された時に 契約が成立するとされているが、この条約では、承諾の意思表示が申込者に到達 した時に契約が成立するとされている。
  2. この条約は、営業所が異なる国に所在する当事者(売主・買主)間の物品売買契 約において、この条約を適用する旨定めた場合にのみ適用されるのに対して、日 本の民法・商法は、日本に営業所が所在する当事者間の契約である限り、常に適 用される。
  3. 日本の民法・商法では、契約の解除ができる場合が「重大な契約違反」がある場 合に限られているが、この条約にはそのような制限がない。
  4. 日本の民法では、申込みと承諾が完全に一致しなくても、その違いが実質的な ものでない場合には、契約が成立するとされているが、この条約では、申込みと 承諾が完全に一致しなければ契約は成立しないとされている。 ― 11― ◇M5(688―118)
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正解:

解答:ア

〔リード〕ウィーン売買条約(CISG)と日本の民法・商法の比較。出題時点(平成23年)の改正前民法を前提とする。

  • ア(○):隔地者間契約の成立時期について、改正前民法は承諾の通知を「発した時」に契約成立とする発信主義(旧526条1項)を採っていた。これに対しCISGは承諾の意思表示が申込者に「到達した時」に成立する到達主義を採る(CISG18条2項)。両者の相違を正しく述べており適切。
  • イ(×):CISGは、異なる締約国に営業所を有する当事者間の物品売買契約に、当事者が適用を合意した場合に限らず原則として当然に適用される(CISG1条1項(a))。適用を定めた場合「のみ」適用されるとするのは誤り。
  • ウ(×):説明が逆。契約解除(avoidance)を「重大な契約違反(fundamental breach)」がある場合に限定しているのはCISG(25条・49条等)であり、日本の民法・商法にそのような一般的制限はない。
  • エ(×):説明が逆。申込みと承諾が完全一致しなくても実質的でない変更なら契約成立を認めるのはCISG(19条2項)。改正前民法では変更を加えた承諾は新たな申込みとみなされ(旧528条)、完全一致を要するのが原則であった。

よって

#民法・契約・PL

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