第8問
次の開放マクロ経済モデルに関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。 下図は、開放経済下におけるマクロ経済モデルを描いたものである。 いま、小国モデル、完全資本移動、変動為替レート制、物価の硬直性、静学的為 替レート予想を仮定する。下図では、これらの前提に基づき、生産物市場の均衡を 示すIS 曲線、貨幣市場の均衡を示すLM 曲線、自国利子率(r)と外国利子率(r *) の均等化を示すBP 曲線が表されている。 (
設問1
) 貨幣供給の増加に伴う効果の説明として、最も適切なものはどれか。
- ア 貨幣供給の増加は、LM 曲線を右方にシフトさせ、民間投資支出の増加を通 じて所得を増加させる。
- イ 貨幣供給の増加は、LM 曲線を右方にシフトさせるが、外貨準備の取り崩し とそれに伴う貨幣供給の反転減少を伴い、所得に影響を与えない。
- ウ 貨幣供給の増加は、経常収支の改善を通じて所得の拡大を引き起こす。
- エ 貨幣供給の増加は、内外金利差に伴う大量の資本の流出を引き起こし、円高 を生じさせる。 ― 12― ◇M1(295―14) (
設問2
) 外国利子率の低下に伴う効果の説明として、最も適切なものはどれか。
- ア 外国利子率の低下は、円安を通じて自国の経常収支を改善させる効果を持 つ。
- イ 外国利子率の低下は、金融緩和と同じ効果を持ち、LM 曲線を右方にシフト させ、円安を通じて所得の拡大を引き起こす。
- ウ 外国利子率の低下は、金利差に伴う資本の流入を引き起こし、円高を通じて IS 曲線を左方にシフトさせ、所得の減少をもたらす。
- エ 外国利子率の低下は、自国利子率の低下をもたらし、民間投資支出の増加を 通じて所得の拡大を生じさせる。
▼ 解答・解説を見る
正解: 設問1 ウ 設問2 ウ
解答:設問1=ウ、設問2=ウ
〔前提〕小国・完全資本移動・変動為替レート制では、マンデル=フレミング・モデルにより金融政策が有効、財政政策は無効。BP曲線は r=r* の水平線。
設問1(正解:ウ)貨幣供給の増加
貨幣供給増→LM曲線が右方シフト→自国利子率が一時的に r* を下回る→資本流出→円安(自国通貨安)→純輸出(経常収支)が改善→IS曲線が右方シフト→所得拡大。最終的に利子率は r* に戻る。
- ア(×):所得拡大は「民間投資支出の増加を通じて」ではなく、変動相場では為替減価による経常収支改善(純輸出増)を通じて生じる。経路の説明が誤り。
- イ(×):これは固定相場制での説明(外貨準備取り崩しで貨幣供給が反転し所得不変)。変動相場制では当てはまらない。
- ウ(○):貨幣供給増は円安を通じた経常収支の改善で所得を拡大させる。変動相場・完全資本移動の金融政策有効の帰結に整合。
- エ(×):資本流出による円安が生じるのであって「円高」は誤り。
設問2(正解:ウ)外国利子率の低下
外国利子率 r* が低下すると、自国利子率>r* となり資本が流入→円高(自国通貨高)→純輸出が減少→IS曲線が左方シフト→所得減少。
- ア(×):円高となるため経常収支は悪化する。「円安を通じて改善」は誤り。
- イ(×):外国利子率低下はLM曲線をシフトさせるものではなく、また円高をもたらすため「円安で所得拡大」は誤り。
- ウ(○):金利差による資本流入→円高→IS曲線左方シフト→所得減少。正しい。
- エ(×):資本流入による円高でIS曲線が左シフトし所得は減少する。「投資増で所得拡大」は誤り。
よって設問1は ウ、設問2は ウ。