経営法務 H22年度 第12問

第12問

ホテル業を営むA 会社は、新しくホテルを建設することとし、B 設計建築会社 (以下「B 会社」という。)との間で工事請負契約を締結した。予定どおり竣工し、A 会社は、当該契約に基づいてこのホテルの引渡を受け営業を開始した。 しかし、このホテルは、B 会社から構造設計の委託を受けた一級建築士C が、 建築基準法令で定められた耐震強度を満たしたかのように偽装したものであった。 なお、このホテルの建築に関し、D 会社による確認審査、E 会社による構造計算適 合性判定においては、それぞれ建築基準関係規定に適合しているとされていた。 その後、同地域を襲った地震により、このホテルの耐震強度偽装が発覚した。そ の結果、行政当局の指導を受け、このホテルを休業および補修し、A 会社は多額の 損害を被った。 これらの状況を前提に、以下の選択肢ア~エのうち最も適切なものはどれか。

  1. A 会社は、B 会社に請求する損害賠償とは関係なく、建築士C に対してもB 会社を債権者代位して契約上の義務に違反するとして損害賠償請求をすることが できる。
  2. A 会社は、偽装を見抜けなかったD 会社・E 会社に対しても、自己に生じた 損害について無過失責任を追及することができる。
  3. A 会社は、不完全履行があるとして、B 会社に対して、補修に要した相当額の 不当利得返還請求をすることができる。
  4. A 会社は、補修および休業したことにより生じた損害について、B 会社に対 し、債務不履行責任に基づく損害賠償請求をすることができる。 ― 15― ◇M5(295―131)
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正解:

解答:エ

〔リード〕A会社はB会社(請負人)と工事請負契約を締結している。耐震偽装により引き渡された建物に欠陥があった場合、A会社は契約当事者であるB会社に対して、債務不履行(不完全履行)に基づく損害賠償を請求できる。Cは下請の建築士、D・Eは確認検査機関であり、A会社とは直接の契約関係にない。

  • ア(×):A会社が建築士Cに対し「B会社を債権者代位して契約上の義務違反として損害賠償請求できる」とするのは構成が誤り。債権者代位権はAの債権を保全するためBが有する債権を代位行使する制度であり、A自身の契約上の義務違反を理由とするものでなく、本記述は不正確。
  • イ(×):確認審査を行ったD会社・構造計算適合性判定を行ったE会社に対し、A会社が無過失責任を追及できる根拠はない。無過失責任とする点が誤り。
  • ウ(×):補修に要した相当額は、不完全履行=債務不履行に基づく損害賠償として請求すべきもので、不当利得返還請求の問題ではない。法律構成が誤り。
  • エ(○):A会社は、契約相手であるB会社に対し、不完全履行(債務不履行)を理由として、補修費用や休業損害について損害賠償を請求できる。最も適切。

よって

#民法・契約・PL

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