第9問
全国各地に長い社歴を誇る企業が存在する。そのような長寿企業に興味深い経営 上の特徴が見られる。それらの特徴を説明する記述として、最も不適切なものはど れか。
- ア 江戸時代には上方から江戸に向けて送られる荷物は下り荷と呼ばれたが、運送 できる量や必要とされる時間などの制約が強いため、上方で評判の製品は江戸で は珍重され、それが現在に続く老舗ブランドを形成している。
- イ 近江商人が重視する三方よしとは、生産者、販売者の利益が改善されることに より、全体の経済効率が高まることをいう。
- ウ 老舗企業では互いに市場を棲み分けながら、自社製品への根強い愛顧者を安定 的に確保しており、競争と共生のバランスが生まれていることが見受けられる。
- エ 地域に根を下ろした長寿企業では地域の生活ニーズを満たすべく、地域の資源 や伝統的な技術を駆使するとともに、そこに現代の技術成果を導入して、生産性 の向上や商品開発を試みるなどの例が多い。
- オ 強い商品ブランドや企業ブランドを守るべく、経営が保守的になりやすく、新 製品や新市場の開発が鈍くなり、生活スタイルの変化とともに市場が狭隘化する 傾向がある。 ― 14― ◇M3(557―62)
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正解:イ
解答:イ
〔長寿企業の経営上の特徴の説明として最も不適切なもの〕
- ア(×=適切):上方から江戸への「下り荷」は運送量・時間の制約から珍重され、それが現在に続く老舗ブランドを形成した、という歴史的説明として妥当。
- イ(○=最も不適切):近江商人の「三方よし」は「売り手よし・買い手よし・世間よし」、すなわち売り手・買い手の利益に加え社会(世間)への貢献を重んじる理念である。「生産者・販売者の利益改善により全体の経済効率が高まること」という説明は、買い手(顧客)と世間の視点を欠いており、三方よしの定義として誤り。よって正解。
- ウ(×=適切):老舗が互いに市場を棲み分け、根強い愛顧者を確保し、競争と共生のバランスをとっているのは妥当な観察。
- エ(×=適切):地域資源・伝統技術に現代の技術成果を導入し生産性向上や商品開発を図る、は長寿企業の特徴として妥当。
- オ(×=適切):強いブランドを守るゆえ経営が保守的になり、新製品・新市場開発が鈍り市場が狭隘化しやすい、という負の側面の指摘も妥当。
よって イ。