企業経営理論 H21年度 第5問

第5問

国際化の進展は産業分野や製品分野でまちまちであり、すべてを同じように取り 扱うことはできない。しかし、よく観察すると一見ばらばらに見える国際化も、背 後に共通のロジックが存在する。最近の国際化の状況や国際化のロジックに関する 記述として、最も適切なものはどれか。

  1. BRICs と呼ばれる新興工業国に先進国で成功している製品を持ち込むだけで は、現地の市場に適合的な製品を提供しながら成長を遂げている巨大なコングロ マリットとの競争に後れをとることになりやすい。
  2. 薄型パネルテレビでは国内で生産して輸出するという戦略が中心になっている が、それは国際的な水平分業によって生産コストや労務コストを下げるという戦 略が展開されているからである。
  3. 台湾や韓国の薄型パネルの生産規模はわが国を凌駕しているが、その生産に必 要な部材の多くをわが国に依存しているので、海外での薄型パネルの生産増加は 結果的にわが国の部材メーカーを潤すと同時に、日本製薄型テレビの海外輸出を 促進する効果をもたらしている。
  4. パソコン分野では中国での生産の増強や移転の例が見られるが、その理由は労 務コストが安価であることに加えて、必要不可欠なモジュール部品のすべてが安 価に現地生産されており、実装技術を持ち込めば低廉に生産できるという中国の 産業構造の高度化が進展しているからである。
  5. わが国の自動車産業では米国への輸出は抑制気味で、現地生産は拡大してお り、米国内の自動車販売に占める日本車のシェアも高いが、これは日本の大衆車 への需要が強いためである。 ― 9― ◇M3(557―57)
▼ 解答・解説を見る

正解:

解答:ア

〔国際化の状況・ロジックに関する記述として最も適切なもの〕

  • ア(○=最も適切):BRICs等の新興国市場では、現地適合製品で成長する巨大な現地コングロマリットが存在する。先進国で成功した製品をそのまま持ち込むだけでは現地ニーズに合わず、競争に後れをとりやすい。国際化のロジックとして妥当。
  • イ(×):薄型パネルテレビは国内生産・輸出が中心、という前提が誤り。実際は海外生産・現地生産が進んでおり、また「国内生産・輸出」と「国際的な水平分業によるコスト低下」という説明も矛盾する。
  • ウ(×):台湾・韓国の薄型パネル生産が日本を凌駕し、その部材を日本に依存しているのは事実だが、それが「日本製薄型テレビの海外輸出を促進する」という結論は飛躍・誤り。部材供給と完成テレビ輸出は直結しない。
  • エ(×):パソコンの中国生産増の主因は安価な労務コストと組立・実装の集積であり、「必要不可欠なモジュール部品のすべてが安価に現地生産されている」とまでは言えず誇張で不適切。
  • オ(×):日本車の米国シェアが高いのは品質・燃費・信頼性など総合的競争力によるもので、「日本の大衆車への需要が強いため」という説明は誤り。

よって

#組織構造

← 企業経営理論の一覧へ戻る