経済学・経済政策 H20年度 第18問

第18問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 消費と余暇に関する、ある労働者の当初の予算制約式が次のように与えられてい るとする。 C =w ×(24-L) ここで、C は消費、w は時間当たりの賃金、L は余暇時間とする。労働者は、余 暇時間以外の時間に働くとする。下図のように、人々は消費と余暇に関する無差別 曲線と予算制約式により、最適な労働時間と消費水準を決定する。ここで、この労 働者の初期の最適点はE 点で与えられている。 ― 20― ◇M1(743―22) (

設問1

) 賃金が低下し、予算制約式が変化して、下図のように点線で与えられたものと する。このとき、新たな最適点はE ′点となった。余暇の時間に対する所得効果 と代替効果に関して、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

  1. 所得効果の影響より、代替効果の影響の方が大きい。
  2. 代替効果の影響より、所得効果の影響の方が大きい。
  3. 所得効果の影響と代替効果の影響は同じである。
  4. 所得効果と代替効果、双方とも存在しない。 ― 21― ◇M1(743―23) (

設問2

) もともとの最適点がE 点で与えられている。政府の福祉政策により、所得水 準がある一定水準以下の労働者に対して給付金が出ることになった。この場合、 労働者が新たに選択する消費と余暇の時間の組み合わせに関して、最も適切なも のを下記の解答群から選べ。

  1. 消費は上がって、労働時間を増やす。
  2. 消費は上がって、労働時間を減らす。
  3. 消費は同じで、労働時間も変わらない。
  4. 消費は下がって、労働時間を増やす。
  5. 消費は下がって、労働時間を減らす。 ― 22― ◇M1(743―24)
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正解: 設問1 設問2

解答:設問1=ア、設問2=オ

〔リード〕消費と余暇の選択モデル。予算制約 C=w×(24-L)。賃金wが余暇の相対価格(機会費用)であり、賃金変化は余暇に代替効果と所得効果をもたらす。

設問1(賃金低下時の余暇への所得効果と代替効果)

賃金が低下すると余暇に2つの効果が働く。

  • 代替効果:賃金(=余暇の機会費用)が下がるので余暇が相対的に安くなり、余暇を増やす(労働を減らす)方向。
  • 所得効果:賃金低下で実質所得が減り、余暇が正常財なら余暇を減らす(労働を増やす)方向。

図では賃金低下後の新たな最適点E′で余暇が増加している(労働供給が減少している)と読み取れる。これは代替効果(余暇増)が所得効果(余暇減)を上回った結果である。

  • ア(○):所得効果より代替効果の影響が大きい。図の結果(賃金低下で余暇増・労働減)に整合する。
  • イ(×):所得効果が大きければ余暇は減る方向となり、図と合わない。
  • ウ(×):両効果が等しければ余暇は不変だが、E′で余暇は変化しており該当しない。
  • エ(×):賃金が変化している以上、両効果とも存在する。

設問1は

設問2(一定所得以下に給付金が出る福祉政策の効果)

所得が一定水準以下の労働者にだけ給付金が支給される(働いて所得が増えると給付を失う)制度では、追加労働の実質的な見返りが大きく削がれる。労働者は労働時間を減らして余暇を増やし、給付対象にとどまろうとする誘因が生じる。その結果、労働所得が減り、給付を加味しても消費水準は当初E点より低下しうる一方、余暇は増える(労働時間は減る)。

  • ア(×):労働時間を増やすとする方向が逆。
  • イ(×):消費上昇・労働減とするが、消費はむしろ低下する。
  • ウ(×):消費・労働とも不変とするが、行動は変化する。
  • エ(×):労働時間を増やすとする方向が逆。
  • オ(○):消費は下がり、労働時間を減らす。給付による労働意欲の抑制(モラルハザード的効果)を表しており適切。

設問2は

よって 設問1=ア、設問2=オ

#消費者理論#情報の経済学・行動経済学

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