第8問
特許法によれば、発明はその特許出願前に公知にしてしまったものについては、 新規性を喪失してしまったものとして取り扱い、特許を受けることができない(特 許法第29条第項各号)。しかしながら、発明者にとって酷な場合もあることか ら、一定の要件を満たす場合には、例外として新規性を喪失していないものとして 取り扱う規定を置いている(特許法第30条)。この新規性の喪失の例外規定の適用 を受けられない発明はどれか。
- ア 特許出願前に市場での反応を見るために発明品を試験的に販売して公知にして しまった発明。
- イ 特許出願前に特許庁長官が指定した学術団体が開催する研究集会において、文 書で発表して公知にしてしまった発明。
- ウ 特許出願前に発明品を自社のカタログやパンフレットへ掲載して不特定多数の ものに頒布して公知にしてしまった発明。
- エ 特許出願前に自らの意思に反してテレビ放送を通じて公知にされてしまった発 明。 ― 9― ◇M5(743―125)
▼ 解答・解説を見る
正解:ア
解答:ア
〔リード〕新規性喪失の例外規定(特許法30条)の適用を受けられない発明を選ぶ。H20時点の30条は、例外が認められる公知化の態様を限定列挙していた点が要点。
H20当時の特許法30条では、新規性喪失の例外が認められるのは、特許を受ける権利を有する者が、(1)試験を行い、刊行物に発表し、電気通信回線を通じて発表し、又は特許庁長官が指定する学術団体の研究集会において文書で発表した場合、(2)特許庁長官が指定する博覧会等に出品した場合、及び(3)意に反して公知になった場合に限られていた(「販売」など広く一般の行為すべてを救済する現行のような規定ではなかった)。
- ア(○=適用を受けられない=正解):市場の反応を見るため発明品を試験的に「販売」して公知にした場合。H20当時の30条の限定列挙(試験・刊行物発表・電気通信回線発表・指定学術団体での文書発表・指定博覧会出品・意に反する公知)に「販売による公知」は含まれず、例外の適用を受けられない。これが正解。
- イ(×=適用あり):特許庁長官が指定した学術団体が開催する研究集会において文書で発表した場合は、30条が明文で例外を認める典型的場面。適用を受けられる。
- ウ(×=適用あり):自社カタログ・パンフレットへ掲載して頒布する行為は「刊行物に発表」に該当し、30条の例外の対象となる。適用を受けられる。
- エ(×=適用あり):自らの意に反してテレビ放送で公知にされた場合は、「意に反する公知」として30条の例外が認められる。適用を受けられる。
よって ア。