経営法務 H20年度 第2問

第2問

平成20年月日、中小企業診断士であるあなたは、顧客から以下の相談を受 けた。 このときのあなたの回答として最も適切なものを下記の解答群から選べ。 【相談概要】 平成20年月10日、父親が死去した。父親は事業(個人事業)を行っていたが、 その事業は長男が継ぐことになっている。父の事業は必ずしもうまくいっているわ けではなく、若干だが、資産よりも負債の方が多いようだ。次男である私は独自で 生計を立てているので、父の負債を一切相続しないようにしたい。

  1. あなただけがお父様の負債を相続しないようにするには、家庭裁判所で相続 放棄の手続をとらなければいけません。相続放棄の期間は、原則として、相続 開始があったことを知ってからか月以内ですから、急いだ方がよいと思いま す。
  2. お父様がお亡くなりになってから、100日以内に家庭裁判所で限定承認の手 続をとれば、資産があったときだけ返済すればよいことになりますから、他の 相続人の方が反対しても、お一人でその手続をとられた方がよいでしょう。
  3. 現時点で、あなたはお父様の事業には何も関与されていませんから、お父様 の負債を負うことは法律上あり得ません。どうしても、気になるのであれば、 念のため、お父様の負債だけ放棄する手続を家庭裁判所でとればよいと思いま す。
  4. 相続人全員で遺産分割協議を行って、ご長男が全部相続することにすれば、 法律上負債も当然にご長男が相続されたことになって、あなたがお父様の負債 を負うことはありませんので、これからゆっくり遺産分割協議を行えばよいと 思います。 ― 2― ◇M5(743―118)
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正解:

解答:ア

〔リード〕父の死亡により、資産より負債が多い個人事業を長男が継ぐが、次男である相談者は父の負債を一切相続したくない、という相談への最も適切な回答を選ぶ。鍵は「相続放棄」の要件・効果。

  • ア(○):自分だけが負債を相続しないためには、家庭裁判所で相続放棄の手続をとる必要がある。相続放棄は各相続人が単独で行うことができ、放棄をすれば初めから相続人でなかったものとみなされる(民法939条)。その期間は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間。民法915条1項)。父の死去(知った時)から急ぐべきという回答は正確。これが最も適切。
  • イ(×):限定承認は、相続人が数人あるときは共同相続人全員が共同してのみ行うことができる(民法923条)。相談者一人では手続できず「他の相続人が反対しても一人でとれる」は誤り。また期間も「100日以内」ではなく相続開始を知った時から3か月以内。
  • ウ(×):相続人は被相続人の権利義務を承継し、消極財産(負債)も当然に相続するため「事業に関与していないから法律上負債を負うことはあり得ない」は誤り。また、負債だけを放棄するという手続は存在しない(放棄は相続全体について行う)。
  • エ(×):遺産分割協議で長男が全部相続すると合意しても、それは相続人間の内部的取り決めにすぎず、債権者(対外的関係)には対抗できない。相続債務は各共同相続人が法定相続分に応じて当然に承継し、債権者の同意がなければ免れない。次男が当然に負債を負わなくなるわけではなく「ゆっくり遺産分割協議を」も熟慮期間の点で不適切。

よって

#民法・契約・PL

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