この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。
第29問
論点:準拠集団とクチコミ
準拠集団およびクチコミが消費者行動に及ぼす影響に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 準拠集団とは、個人が自分の態度や行動を決めるときに基準とする集団であり、現に所属している集団のほか、憧れの対象となる願望集団も含む。もっとも、拒否集団はこれに含まれない。
- イ 準拠集団の影響は、人目に触れない場で使う私的消費財よりも、服や時計のように人目につく場で使う公的消費財において大きくなる。
- ウ ある製品分野のオピニオンリーダーは、その分野で情報を発信して他者の購買に影響を与える存在であり、その製品を最初に採用するイノベーターと必ず一致する。
- エ クチコミは信頼できる第三者の声として重視され、ネット上では対面より広く速く伝播する。クチコミが特に力を発揮するのは、事前に確認できる探索属性に関する情報である。
- オ 購買意思決定の後半の評価・選択の段階になるほど、他者のクチコミが与える影響は小さくなる。
▼ 解答・解説を見る
正解:イ
解答:イ
消費者は一人で決めているようで、実際には準拠集団やクチコミの影響を強く受ける。準拠集団とは態度や行動を決めるときに基準(ものさし)とする集団であり、所属集団に限らない点、影響が大きいのは公的消費財である点が急所となる。
- ア(×):前半は正しく、準拠集団は所属集団に限らず、属したいと憧れる願望集団も含む。誤りは後半で、あんなふうになりたくないという拒否集団(負の準拠集団)も準拠集団に含まれる。「拒否集団を連想させるブランドを避ける」という形でも購買に影響する。
- イ(○):準拠集団の影響が大きくなるのは、服・時計・車など人目に触れる場で使用される公的消費財のほうであり、人目につかない私的消費財では影響は小さい。「人の目に触れない商品で準拠集団の影響が大きい」と方向を逆にするのが定番の引っかけであり、本肢はこれを正しく述べている。
- ウ(×):前半は正しく、オピニオンリーダーはある分野で情報発信し他者の購買に影響を与える人である。誤りは後半で、オピニオンリーダーは必ずしも最初に買うイノベーター(革新的採用者)と一致するとは限らない。「必ず一致する」と断じる点が誤り。
- エ(×):前半は正しく、クチコミは信頼できる第三者の声として重視され、ネット上では対面より広く速く伝播する。誤りは後半で、クチコミが力を発揮するのは、買って使ってみないと分からない経験属性や、使った後も評価しにくい信頼属性に関する情報である。仕様・価格など事前に確認できる探索属性は、クチコミの強みではない。
- オ(×):購買意思決定プロセスの後半(評価・選択段階)ほど、信頼できる他者のクチコミの影響はむしろ大きくなる。小さくなるとする点が誤りである。
なお、クチコミを広く拡散させるうえでは、異なるネットワークを橋渡しする弱い紐帯が重要な役割を果たす。
よって イ。
なぜこの論点を予想したか
準拠集団・クチコミは過去19年で7回出題され、直近はR05第32問(デジタル・マーケティングのクチコミ)。準拠集団そのものはH29第35問以降ご無沙汰であり、そろそろ出題周期にあたる。公的消費/私的消費の対比は繰り返し狙われる急所である。