この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。
第8問
論点:最低賃金・賃上げ率・労働分配率の動向
中小企業庁「中小企業白書 小規模企業白書2025 年版」に基づき、中小企業における 賃金・賃上げの動向を見た場合の記述として、最も適切なものはどれか。 なお、企業規模については、「大企業」、「中規模企業」、「小規模企業」で見る。ま た、労働分配率とは、付加価値額に占める人件費の割合をいう。
- ア 2024 年の春季労使交渉における賃上げ率は、全規模で4.45 %、中小企業で5.10 %であり、中小企業が全規模を上回った。
- イ 2024 年度の最低賃金の全国加重平均額は1,055 円であり、前年度から51 円の引上げとなった。
- ウ 中規模企業及び小規模企業の労働分配率は約5割にとどまっており、賃上げ余力は大企業と比べて大きい。
- エ 賃上げを実施した企業について賃上げのきっかけを見ると、「業績の改善」をきっかけとした賃上げが過半数を占めている。
- オ 令和6年平均の所定内給与は対前年比2.1 %の伸びとなり、消費者物価指数の上昇を上回る伸びとなった。
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正解:イ
解答:イ
2025 年版中小企業白書で独立した節(第1部第1章第7節)が設けられた賃上げの論点。数値としては、2024 年度の最低賃金の全国加重平均額1,055 円(前年度比+51 円・5.1 %、過去最高)、2024 年春季労使交渉の賃上げ率=全規模5.10 %/中小4.45 %(約30 年ぶりの水準)、中規模・小規模企業の労働分配率=約8 割を押さえる。「全規模>中小」という大小関係の取り違えが最大の引っかけ。
- ア(×):数値が入れ替わっている。2024 年の春季労使交渉における賃上げ率は、全規模5.10 %/中小企業4.45 %であり、中小企業は全規模を下回っている(第1-1-52図)。なお、これは約30 年ぶりの高い水準である。
- イ(○):2024 年度の最低賃金の全国加重平均額は1,055 円で、前年度比+51 円(5.1 %)の改定により過去最高を更新した(第1-1-51図)。記述のとおりで正しい。
- ウ(×):中規模企業・小規模企業の労働分配率は約8 割であり、「約5 割」は誤り(第1-1-56図)。また、労働分配率が高いことは人件費の負担が既に重いことを意味し、賃上げ余力は大企業と比べて厳しい。「大きい」とする点も誤り。
- エ(×):「業績の改善」をきっかけとしない賃上げ(=人材確保や最低賃金引上げへの対応等、防衛的な賃上げ)が、賃上げ実施企業の過半数を占めている(第1-1-57図)。記述は逆である。
- オ(×):令和6 年平均の所定内給与が対前年比2.1 %と30 年ぶりの高い伸びとなった点は正しいが、消費者物価指数は賃金指数を上回る上昇が続いており、「消費者物価指数の上昇を上回る伸び」とする点が誤り(第1-1-58図)。実質賃金は伸び悩み、消費者態度指数が低下している。
なお、付加価値額の構成要素を見ると、中小企業は大企業に比べて営業純益の割合が低く、賃上げ余力が小さい構造にある(第1-1-55図)。
よって イ。
なぜこの論点を予想したか
賃金・賃上げは過去19年で4回出題され、直近はR07(第19問)。2025年版白書では第1部第1章に独立の節(第7節)が設けられ、最低賃金1,055円・賃上げ率5.10%/4.45%など具体的数値が豊富で、政策パートの賃上げ促進税制とも連動する。
出典
- 中小企業庁「中小企業白書 小規模企業白書 2025年版」第1部第1章第7節 第1-1-51図・第1-1-52図・第1-1-55図・第1-1-56図・第1-1-57図・第1-1-58図 https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_7.html