企業経営理論 R05年度 第31問

第31問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。  食品メーカーA社では、これまで卸売業者や小売業者を介した間接流通チャネル と電子商取引を用いてきた。近年は多くの食品メーカーがD2C に乗り出しており、 この動きにどのように対応するかも1つの課題であると考えている。

設問1

文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. ある業界において多くのメーカーが零細である場合、卸売業者の役割は小さ いため、その業界の流通チャネル上に存在する卸売業者の数も少なくなる傾向 がある。
  2. ある業界において中小小売業者が多いほど、これら中小小売業者とメーカー をつなぐ卸売業者が多段階化し、その数も多くなる傾向がある。
  3. 卸売は卸売業者だけが行うものではなく、小売業者によって行われることも ある。しかしメーカーが販社を作って行う小売業者向けの販売は、卸売ではな い。
  4. 小売とは最終消費者に対して商品を再販売する商業活動であるのに対して、 卸売とは最終消費者だけでなく他の卸売業者や小売業者、産業用使用者に対し て商品を再販売する商業活動である。
  5. 大規模に成長した小売業者との取引を確保・拡大するために、近年の卸売業 者に求められている方策の1つがロジスティックス機能の強化である。この機 能は一般にサードパーティ・ロジスティックスと呼ばれ、卸売業者の生き残り をかけた重要な戦略となっている。

設問2

文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. 一般にD2C とは、卸売業者や小売業者から構成される従来の流通チャネル を介することなく、自社サイトや大手ネットショッピング・モールを通じて、 自社の製品を直接消費者に販売することを指す。
  2. 米国のスタートアップ企業などが自社サイトを活用して自社の世界観を伝 え、顧客との接点を育てながら自社製品を直接販売して急速に成長したのが D2C の始まりであるが、SNS を積極的に利用することも多くのD2C に見られ る特徴の1つである。
  3. メーカーがD2C に進出するためには、自社サイトを構築し、顧客管理、決 済システムなどを単独で開発する必要がある。
  4. メーカーが流通チャネルを介さずに直接消費者に自社製品を販売すること は、従来「メーカー直販」と呼ばれてきた。ほとんどのメーカーは、既存の間接 流通チャネルとメーカー直販を両立させ、間接流通チャネルの卸売業者や小売 業者の支持を得ながらメーカー直販を拡大してきた。
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正解: 設問1 設問2

解答:設問1=イ、設問2=イ

流通チャネル(卸売・小売)とD2Cに関する2設問。

設問1(卸売・小売の概念)

  • ア(×):零細メーカーが多い業界では、生産が分散するため需給を架橋する卸売の役割はむしろ大きく、卸売業者の数は多くなる傾向がある。記述は逆で誤り。
  • イ(○):中小小売業者が多いほど、メーカーと小売をつなぐ卸売が多段階化し、その数も多くなる傾向がある。正しい。
  • ウ(×):卸売は小売業者が行うこともある。またメーカーの販社が小売業者向けに販売するのも卸売に当たる。「卸売ではない」は誤り。
  • エ(×):卸売は最終消費者以外(卸売・小売・産業用使用者)への再販売を指す。小売の定義(最終消費者への再販売)は正しいが、卸売に「最終消費者だけでなく」と最終消費者を含めている点が誤り。
  • オ(×):荷主に代わり物流を一括受託するのがサードパーティ・ロジスティクス(3PL)。卸売業者自身のロジスティクス機能強化を3PLと呼ぶのは用語の誤り。

設問2(D2C)

  • ア(×):D2Cは原則として自社サイト等の自社チャネルで直接販売する形態。「大手ネットショッピング・モールを通じて」販売することを含める説明は、D2Cの本質(中間流通やプラットフォームを介さない直接販売)とずれており不適切。
  • イ(○):D2Cは米国スタートアップが自社サイトで世界観を伝え顧客接点を育てながら直接販売して成長したのが始まりで、SNSの積極活用も多くのD2Cに共通する特徴である。正しい。
  • ウ(×):D2C進出に、顧客管理・決済システムを必ず「単独で開発」する必要はない。外部のEC基盤・決済サービス等を利用できる。「単独で開発する必要がある」は誤り。
  • エ(×):メーカー直販の説明として、「ほとんどのメーカーが既存チャネルの卸・小売の支持を得ながら直販を拡大してきた」という一般的事実はなく、むしろチャネル間の利害対立(チャネルコンフリクト)が生じやすい。誤り。

よって 設問1=、設問2=

#組織行動・コミットメント#価格・チャネル戦略

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