企業経営理論 R04年度 第20問

第20問

共通の組織形態を持つ組織個体群と環境の関係を分析する理論に、個体群生態学 モデル(population ecology model)がある。このモデルは組織個体群の変化を、「変 異(variation)-選択・淘汰(selection)-保持(retention)」という自然淘汰モデルに よって説明する。個体群生態学モデルに関する記述として、最も適切なものはどれ か。

  1. 既存の組織形態を保持しようとする力が強ければ、新たな組織形態が生まれる 可能性は低くなる。
  2. 個体群生態学モデルでは、環境の変化に対して自らの組織形態を柔軟に変化さ せて対応できる組織群が選択され、長期にわたって保持されることを示唆する。
  3. 組織内の部門が緩やかな結合関係にある場合、変異が生じる可能性が高くなる が、保持されている既存の組織形態の存続の可能性は高くなる。
  4. 変異段階で新たに生まれる組織個体群は、既存の組織から派生してくるケース は少なく、独立した企業者活動を通じて生み出される。
  5. 変異によって生まれた組織個体群は、政府などによる規制や政策によって選 択・淘汰されるが、規制が緩和されれば保持される組織形態の多様性は減少す る。
▼ 解答・解説を見る

正解:

解答:ア

個体群生態学モデルは「変異-選択・淘汰-保持」という自然淘汰の枠組みで、環境に適合した組織形態が選択され存続すると考える。組織は環境に合わせて柔軟に変化するのではなく、慣性により形態を保持し、淘汰される側だと捉える点がポイントである。

  • ア(○):既存形態を保持しようとする慣性(構造的慣性)が強いほど、新しい形態への変化や創出は起こりにくい。「変異-選択・淘汰-保持」の論理に整合し、適切。
  • イ(×):このモデルは個々の組織が柔軟に変化して適応するのではなく、多様な変異の中から環境に適合したものが選択・保持されると考える。組織の能動的適応を強調する記述は誤り。
  • ウ(×):緩やかな結合(ルース・カップリング)は変異を生みやすくする一方、既存形態の存続可能性は低下しやすい。「存続の可能性が高くなる」とした点が誤り。
  • エ(×):変異段階の新たな組織は、既存組織からの派生(スピンオフ等)を含めて多様な経路で生まれる。「既存組織からの派生は少ない」とは言えず誤り。
  • オ(×):規制が緩和されれば参入障壁が下がり、選択される組織形態の多様性はむしろ増加する。「多様性は減少する」とした点が誤り。

よって

#組織理論・コンティンジェンシー

← 企業経営理論の一覧へ戻る