第14問
以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、県内で複数の和菓子店を展開す る甲株式会社の代表取締役A氏との間で行われたものである。会話の中の空欄に入 る記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 A 氏:「おととい、東京にある乙株式会社から警告書が送られてきて驚いていま す。」 あなた:「どのような内容ですか。」 A 氏:「うちで販売するどら焼きの名前が、昨年、乙株式会社が「菓子・パン」に ついて登録した商標と類似するそうで、直ちに販売を中止しなさい、とい う内容です。どうしたらいいでしょう。」 あなた:「確か、御社のどら焼きは昭和の時代から販売している名物商品ですよね。 それであれば、先使用権を主張できるかもしれませんよ。」 A 氏:「その先使用権とはどういうものですか。」 あなた:「不正競争の目的でなく、 、継続してその商標の使用をする権 利を有する、という商標法上の規定です。」 A 氏:「ということは、うちのどら焼きの販売を中止する必要はないのですね。」 あなた:「そうです。知的財産権に詳しい弁護士さんを紹介しますので、相談され てはいかがですか。」 A 氏:「よろしくお願いします。」
- ア 乙株式会社の商標登録出願前から、御社がどら焼きについて御社商標を使用 し、または使用する準備をしているときは
- イ 乙株式会社の商標登録出願前から、御社がどら焼きについて御社商標を使用 していた結果、乙株式会社の商標登録出願の際、現に御社商標が御社の業務に 係るどら焼きを表示するものとして、需要者の間に広く認識されているときは
- ウ 乙株式会社の商標登録前から、御社がどら焼きについて御社商標を使用し、 または使用する準備をしているときは
- エ 乙株式会社の商標登録前から、御社がどら焼きについて御社商標を使用して いた結果、乙株式会社の商標登録の際、現に御社商標が御社の業務に係るどら 焼きを表示するものとして、需要者の間に広く認識されているときは
▼ 解答・解説を見る
正解:イ
解答:イ
商標法の先使用権(商標法32条1項)の要件を問う。要件は、(1)不正競争の目的でないこと、(2)他人の商標登録出願前から日本国内で使用していたこと、(3)その出願の際に自己の商標が需要者の間に**広く認識(周知)**されていること。基準時は「出願前/出願の際」であって「登録前/登録の際」ではない点、単なる使用や使用準備では足りず周知性が必要な点が引っかけ。
- ア(×):基準時は出願前で正しいが、「使用または使用の準備」では足りず周知性が要件。要件不足。
- イ(○):「出願前から使用し、出願の際に需要者の間に広く認識されているとき」。要件・基準時とも正しい。
- ウ(×):基準時を「商標登録前」とする点が誤り(正しくは出願前)。周知性要件も欠く。
- エ(×):基準時を「商標登録前/登録の際」とする点が誤り(正しくは出願前/出願の際)。
よって イ。