第21問
いま、つの企業A とB を考える。両企業は、それぞれ、重要な特許権と、重 要ではない特許権を有している。もし、双方が重要ではない特許権のみを拠出し, それらを共有するならば、開発される新製品の質は低く、双方の企業は22 の利益 しかあげることができない。しかしながら、両企業が重要な特許権を拠出し、それ らを共有するならば画期的な新製品の開発によって、双方とも35 の利益をあげる ことができる。 ただし、相手が重要な特許権を拠出しながらも、自らは重要ではない特許権を拠 出することができ、それらを共有するならば、自らの企業だけが新製品の開発に成 功し40 の利益をあげることができる一方で、相手企業は新製品の開発ができず利 益は20 にとどまる。 下表は、このような企業間の関係を利得表の形で整理したものである。企業A と企業B が相互に利得表の内容を理解しているときの説明として、最も適切なも のを下記の解答群から選べ。 重要な特許権を拠出 する。 35,35 20,40 重要な特許権を拠出 する。 重要ではない特許権 のみを拠出する。 企業Bの戦略 企業Aの戦略 重要ではない特許権 のみを拠出する。 40,20 22,22 V解答群X
- ア このような企業間の関係が 回限りで生じている場合、資源配分が22,22 となるとき、パレート最適が実現している。
- イ このような企業間の関係が 回限りで生じている場合、両企業が「重要では ない特許権のみを拠出する」のは、ナッシュ均衡である。
- ウ このような企業間の関係が回だけ繰り返される場合、 回目の取引で資源 配分が22,22となるとき、情報の非対称性によるモラルハザードが起きてい る。
- エ このような企業間の関係が回だけ繰り返される場合、企業A が 回目の 取引で「重要な特許権を拠出する」のは支配戦略である。 DKJC-1A
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正解:イ
解答:イ
〔利得表(A, B)。「重要な特許権を拠出する」=協力、「重要ではない特許権のみを拠出する」=非協力(裏切り)とみると、
| B:重要を拠出 | B:重要でないのみ | |
|---|---|---|
| A:重要を拠出 | (35, 35) | (20, 40) |
| A:重要でないのみ | (40, 20) | (22, 22) |
相手が「重要を拠出」のとき、自分は40>35で「重要でないのみ」が有利。相手が「重要でないのみ」のとき、自分は22>20で「重要でないのみ」が有利。よって両者とも「重要でないのみ」が支配戦略。これは囚人のジレンマであり、ナッシュ均衡は(22, 22)。両者協力の(35, 35)はパレート優位だが均衡では実現しない。〕
- ア(×):(22, 22)はパレート最適ではない。(35, 35)が(22, 22)をパレート優位に支配しており、双方とも改善できる。
- イ(○):1回限りのゲームでは、両企業が「重要ではない特許権のみを拠出する」(非協力)のが支配戦略であり、その組(22, 22)はナッシュ均衡。正しい。
- ウ(×):(22, 22)になるのは支配戦略どうしのナッシュ均衡の帰結であり、情報の非対称性によるモラルハザードではない(利得は相互に分かっている)。
- エ(×):有限回繰り返しでは後ろ向き帰納法により毎回非協力が選ばれる。1回目に「重要な特許権を拠出する」(協力)のは支配戦略ではない。支配戦略は「重要でないのみ拠出」。
よって イ。